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三重県東員町、フレイルを電力データのAI分析で早期発見する実証実験

DIGITAL X 編集部
2020年2月5日

三重県東員町は2020年度、独居の高齢者が、健康な状態と要介護状態の中間である「フレイル」に陥るのを早期に発見するために、世帯の電力データをAI(人工知能)で分析して検知する実証実験に取り組む。実験に参画する東京大学大学院情報学環 越塚登研究室などが2020年1月10日に発表した。

 フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指す。適切な治療や予防により要介護状態に進まずにすむ可能性があることから、フレイルの早期発見と早期対応が重要視されている。一方で、独居の高齢者が拡大する中では、自治体や地域がすべての高齢者に対し、フレイルを漏れなく発見するには困難が伴うため新たな課題になってきた。

 三重県東員町は今回、要介護状態になる前にフレイルを検知し、予防の可能性を探るための実証実験に取り組む。スマートホームの仕組みを応用し、電力量計から得られるデータをAI(人工知能)で分析することで、フレイルを簡易判定する。実験期間は2020年度の1年間を予定する。

 実験では、約30の単身高齢者世帯に協力を募る。各世帯に、ネットにつながる電力量計であるスマートメーターと、通信用ゲートウェイ、および動きやCO2を測る市販のセンサーを設置してデータを収集する。実験参加者には、個人情報保護法に則った合意書への同意を得、参加者はいつでもデータ収集の中止を希望できる。

 実験には、東京大学大学院情報学環の越塚登研究室と、家庭用IoT(Internet of Things:モノのインターネット) サービスなどを手がけるネコリコ、日本データサイエンス研究所(JDSC)の3者が参加する。

 また「東京大学と三重県との連携・協力に関する協定」に基づいて、新たに設立される「東大・三重連携 介護予防に向けたAI・データ活用研究会」とも連携する。これにより、東京大学の地域未来社会連携研究機構と高齢社会総合研究機構、および三重大学、三重県が参画する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三重県東員町
業種公共
地域三重県東員町
課題地域の介護予防に向け、独居の高齢者の「フレイル」(健康な状態と要介護状態の中間状態)を早期に発見したい
解決の仕組みスマートメーターで得る電力データと各種センサーデータをAI(人工知能)で分析し、フレイルを簡易判定する
推進母体/体制三重県東員町、東京大学大学院情報学環 越塚登研究室、ネコリコ、日本データサイエンス研究所(JDSC)など
活用しているデータスマートメーターから取得する電力データや、モーションやCO2などの各種センサーのデータ
採用している製品/サービス/技術スマートメーター、AI(人工知能)、モーションやCO2などのセンサー
稼働時期2020年度の1年間(実証実験期間)