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CATV大手のイッツコム、技術的問い合わせへの電話応対をAIで支援

DIGITAL X 編集部
2020年3月10日

ケーブルテレビ(CATV)大手のイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)は、顧客からの電話による技術的な問い合わせへの応対者を支援するAI(人工知能)システムを導入した。通話内容から回答候補を検索し、応対者に提供する。AIには「IBM Watson」を利用する。2020年1月29日に発表した。

 イッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)は、機器の接続や設定、不具合など技術的な問い合わせを電話で受け付ける「テクニカルサポートセンター」において、AI(人工知能)を使ったオペレーター支援システムを2020年1月から本格運用している。

 通話音声をテキスト化し、その内容から回答候補を検索しオペレーターに提示する(図1)。回答精度の向上を期待する。オペレーターの応答内容をマニュアルやFAQ(よくある質問と回答)にリアルタイムに反映することもできる。

図1:オペレーター向け画面の例。通話内容から関連性の高いページを表示する(左)。テキスト化した通話音声は、その履歴を確認できる(右)

 合わせて、問い合わせの会話文とFAQの関連度を強化する機能もある。オペレーターは、1通話ごとにAIによる通話品質のフィードバックを受けられるほか、通話記録から対話内容を振り返りながら適切さを学べる。

 AIには、日本IBMが提供する「IBM Watson」を採用した。音声のテキスト化には、音声データの変換API(アプリケーションプログラミングインタフェース)である「Speech to Text」を利用。通話内容の認識と回答候補の検索にはAI検索エンジン「Watson Discovery」を用いている。

 イッツコムは、東京都と神奈川県の東急電鉄沿線などをカバーするケーブルテレビ(CATV)事業者。インターネットや電話、スマートホームなどのサービスも提供している。

 テクニカルサポートセンターではこれまで、オペレーターの離職や、ベテランが持つノウハウの引き継ぎ問題を背景に、顧客応対品質を維持するための管理者によるオペレーターへのフィードバック業務の負荷増大が課題になっていた。

 新システムの導入により、顧客の声を蓄積し応答精度を高めることで、業務の品質向上や効率化を図り、離職率の低減につなげたい考えだ。

 なお新システムでは、音声のテキスト化により、通話内容の聞き起こしや応対内容のレポート作成、オペレーターの応対品質評価レポートなども自動生成できるようにしている(図2)。

図2:オペレーターの応対品質評価レポートの例
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名イッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)
業種通信
地域東京都・神奈川県(サービスエリア)、東京都世田谷区(本社)
課題技術的な問い合わせに答えるテクニカルサポートセンターにおいて、オペレーターの離職や、ベテランからのノウハウの引き継ぎ、管理者のフィードバック業務の負荷が増大していた
解決の仕組みAIを活用して通話内容から回答を自動検索したり応対品質を評価する
推進母体/体制イッツコム、日本IBM
活用しているデータテクニカルサポートセンターでの対話音声
採用している製品/サービス/技術AIサービス「IBM Watson」の音声テキスト変換API「Speech to Text」やAI検索エンジン「Watson Discovery」(いずれも日本IBM製)
稼働時期2020年1月(本格運用を開始)