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独コンチネンタル、コネクテッドカーの開発を自動化・標準化するための取り組みを強化

DIGITAL X 編集部
2020年3月12日

ドイツの自動車部品サプライヤー大手のコンチネンタルが、自動車メーカーにおけるコネクテッドカーの開発を支援するための取り組みを強化している。自動車メーカーへの部品サプライヤーからシステムインテグレーターに転換を図るのが目的だ。その一環として、組み込み用ソフトウェアの開発者コミュニティを対象にしたポータルサイトを立ち上げた。自動車メーカーの車両開発プロセスを圧縮し開発コストの削減を支援する。2020年1月23日(現地時間)に発表した。

 独コンチネンタルが立ち上げた「コンチネンタル開発ポータル(Continental Cooperation Portal)」は、自動車メーカーと車載用ソフトウエアのサプライヤーがコネクテッドカーの開発に必要なやり取りを交わすためのポータルサイト。車両と車載用ソフトウエアそれぞれの開発プロセスを統合し、車両開発プロセスの時間とコストの節約やソフトウェア品質の向上を後押しする(写真1)。

写真1:独コンティネンタルが開発を支援するコネクテッドカーのイメージ

 CASE(Connected:つながる、Autonomous:自動運転、Shared:共有、Electric:電動)時代にあってコンチネンタルは、コネクテッドカーに搭載するための「HPC(ハイ・パフォーマンスコンピュータ)」を開発し、提供を始めている(写真2)。従来の分散制御型アーキテクチャーに代えて、電子的な中央管理型アーキテクチャーを採用し、車載用ソフトウェアを最新状態に保つ、更新・インストール機能も提供している。

写真2:独コンティネンタルがコネクテッドカー用に提供する「HPC(ハイ・パフォーマンスコンピュータ)」のイメージ

 今回立ち上げたポータルでは、このHPCを搭載するコネクテッドカーの開発に向けて、車載用ソフトウエアのカスタマイズを支援する。開発プロジェクトの参加者は、同ポータル上でログやマニュアルなどのドキュメント保存し最新情報にアクセスできるようにする。ポータルとプロジェクト参加者間の通信は、すべて暗号化している。

 コンチネンタルによれば、自動車に搭載されるプログラムは指数関数的に増加しており、車載用ソフトウエアの開発プロセスを短縮することが自動車メーカーにとって大きな課題になっている。車載用ソフトウエアの開発は、エンジニアの人手に頼っているのが現状だからだ。開発標準が存在せず、プログラム開発に膨大な時間がかかるうえ、テストと、それによって発見されたエラーの修正も手作業で進む。

 その新車の開発プロジェクトには最大50社にのぼるソフトウエアサプライヤーが参加している。各サプライヤーが提供するプログラムを組み合わせる開発プロセスは非常に非効率だという。

 これに対し、コンチネンタル開発ポータルでは、すべてのソフトウェアサプライヤーとのやり取りに自動バリデーション処理を適用し、信頼性が高いアプリケーションの導入プロセスを提供する。ソフトウェアの修正工程を圧縮することで、他のコントロールユニット機能を実装するためのサーバー容量を確保できるとしている。

 同社でコネクテッドカー・ネットワーキング部門の責任者を務めるヨハン・ヒーブル(Johann Hiebl)氏は、コンチネンタル開発ポータルについて次のように語る。

 「さまざまなプロバイダーのソフトウェアとサービスを車両が持つサーバーに実装するための各種ツールを開発した。当社は自動車メーカー向けシステムインテグレーターおよび戦略的パートナーとして、顧客であるメーカーと協力し、複雑化が進む現代の車両におけるソフトウェア統合へのソリューションを提供する」

 なおコンチネンタルのHPCは、独フォルクスワーゲンが新型EV「フォルクスワーゲン ID」の車載アプリケーションサーバーとして採用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名独コンチネンタル
業種製造
地域独ハノーファー
課題コネクテッドカー向け車載コンピューターを拡販したいが、同コンピューター上で稼働する車載用ソフトウェアの開発プロセスが自動化・標準化されておらず、自動車メーカーに開発期間やコストが掛かっている
解決の仕組み車載用ソフトウェアの開発を支援するポータルサイトを立ち上げ、関連情報の共有や各種ツールの提供により自動化・標準化を図る
推進母体/体制独コンチネンタル
活用しているデータソフトウェア開発プロセスで発生するデータなど