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大阪大学歯学部附属病院、歯科診療のためのビッグデータを取得できる診療台を開発へ

DIGITAL X 編集部
2020年4月1日

大阪大学歯学部附属病院は、歯科診療の効率化を図るために診療行為を対象にしたビッグデータを取得できる診療台の開発に着手した。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)データや診療中の映像を取得できる診療台で、歯科医療機器大手のモリタとモリタ製作所と共同で開発する。2020年3月26日に発表した。

 大阪大学歯学部附属病院が開発する「歯科診療認識AIチェアユニット」は、診療中に発生するビッグデータを取得できる診療台(図1)。診療台の背もたれの確度や治具の使用状況といったIoT(Internet of Things:モノのインターネット)データと、医師の動作などをカメラで撮影した映像データを対象にする。

図1:診療に関するデータを取得する「歯科診療認識AIチェアユニット」のイメージ

 収集したデータをAI(人工知能)で分析することで、診療行為の効率化や安心・安全な治療の実現を目指す。具体的には、虫歯や神経を対象にした処置などを推定し、カルテを自動で作成したり、患者の状態をモニタリングし、とっさの異常への対応を支援するなどだ。

 医療分野では最近、AI/IoTなどを使った疾患の予防・診断システムの開発が進みはじめている。ただ歯科分野では、診療状況全体を示せるだけのデータが十分に蓄積できておらず、AI/IoTなどによる課題解決に取り組みづらいという。

 歯科診療認識AIチェアユニットでは、診療台に組み込んだIoTやカメラにより、歯科診療の全体を俯瞰できるデータの取得できるようにする。大阪大学歯学部附属病院ではすでに、歯科処置のプロセスを認識し、処置内容を自動推定するAIの開発を進めている。

 チェアユニットの開発は、歯科医療機器大手のモリタと同グループの製造が会社モリタ製作所との共同研究の一環として取り組む。チェアユニットは2025年の大阪万博までに開発し、歯科診療のためのビッグデータ構築基盤の整備を目指す。

 日本の歯科医療では、超高齢社会化への対応や多様性の受容などの社会的課題への対応の重要性が高まっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大阪大学歯学部附属病院
業種医療・健康
地域大阪府吹田市
課題歯科診療の効率性や安全性向上に向けて、診療状況を俯瞰的に捉えられるだけにビッグデータが必要である
解決の仕組み「歯科診療認識AIチェアユニット」を開発し、背もたれの確度や治具の使用状況といったデータと、診療行為の画像データを取得し、AIで分析できるようにする
推進母体/体制大阪大学歯学部附属病院、モリタ、モリタ製作所
活用しているデータ歯科診療台の位置や治具の操作状況といったIoTデータと、診療行為を撮影した画像データなど
使用している技術歯科処置のプロセスを認識し、処置内容を自動推定するAI(大阪大学歯学部付属病院が開発)