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三菱重工工作機械、工作機械のモニタリングシステムをエッジ処理型に刷新し全製品に標準搭載

DIGITAL X 編集部
2020年4月9日

三菱重工グループの三菱重工工作機械は、販売する工作機械の稼働状態をモニタリングするシステムを刷新し、分散型のエッジコンピューティングを採り入れた。2020年4月以降に販売する全製品に標準搭載する。2020年2月10日に発表した。

 三菱重工工作機械は、自社で製造・販売する工作機械の稼働状況をモニタリングするシステムとして「DIASCOPE(ディアスコープ)」を提供している。今回、DIASCOPEを全面的に刷新し、エッジによる分散処理とクラウドを組み合わせたIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みを採用した。

 DIASCOPEの刷新により、工作機械のセンサーや測定器などからのデータ収集はエッジサーバーで処理し、稼働データの解析をインターネット経由でクラウド側で処理する。これにより工作機械のモニタリングを迅速かつ効率を高めた(図1)。

図1:工作機械のモニタリングシステム「DIASCOPE」を使ったサポートのイメージ

 新しいDIASCOPEは、2020年4月以降は大型工作機械、歯車工作機械、超精密加工機などすべての工作機械に標準搭載する。顧客に、工作機械のリモートモニタリングおよび稼働モニタリングなどのサービスを提供する。

 リモートモニタリングでは、製品のトラブルなどのアラーム情報をDIASCOPE経由で同社サポートセンターに自動で通知し迅速な復旧サービスを提供する。稼働モニタリングでは、顧客のPCやスマートフォンに24時間リアルタイムで工作機械の稼働情報を提供する。

 モニタリングサービスにより顧客は、アラームや加工完了などの機械停止情報を適時入手できる。稼働モニタリングは、稼働実績の分析結果も表示できるため、顧客は稼働率改善に向けた取り組みを早期に開始できる。

 DIASCOPEの標準搭載と併せて三菱重工工作機械は、メンテナンスサポート契約も刷新した。定期的なメンテナンス工事を提供し、設備の安定稼働を保証するとともに顧客のライフサイクルコスト(LCC)の改善を後押しする。

 同社はメンテナンスサポート契約を2016年に開始し、累計契約台数は200台(約100社)。メンテナンス契約を結んでいる顧客では突発停止が約50%に減少したという。メンテナンスサポートは従来1年契約だったが今回、ロングプランやクイックプランなどを用意し、工作機械の安定稼働や機械精度の安定化などに対応する。

 今後は、工作機械の操作盤やスマートフォンなどを使って顧客とサポートセンターが双方向にコミュニケーションを取れる機能の提供や、各種情報を提供するポータルサイト、および加工ネットワークサイトの開設など順次展開していく考え。

 サポート契約メニューにおいても拡大を図るとともに、顧客の機械保全に対するスキルアップを支援する保全支援プランなど、機械のメンテナンスに加え、人材育成面でのサービスも展開していく計画である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三菱重工工作機械
業種製造
地域滋賀県栗東市(本社)
課題製品である工作機械の安定稼働や機械精度の安定化を図りたい
解決の仕組み機械の稼働状況をIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みでモニタリングし、安定稼働を妨げる要因を早期に検知すると同時に、メンテナンスサポートサービスを拡充しハード面/ソフト面から顧客を支援する
推進母体/体制三菱重工工作機械
活用しているデータ工作機械の稼働状況
採用している製品/サービス/技術エッジコンピューティング
稼働時期2020年4月(製品へのDIASCOPEの標準搭載時期)