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小田急百貨店、カード会員外の来店客の行動を位置情報を使うAIで可視化

DIGITAL X 編集部
2020年4月14日

小田急百貨店が、来店客の商圏分析や買い回り傾向を可視化するために位置情報を利用するAI(人工知能)システムの活用を始めている。位置情報を使った分析機能を提供するクロスロケーションズが2020年2月13日に発表した。

 小田急百貨店が沿線住民や近隣オフィスの勤労者などを対象にしたマーケティング活動を強化している。その一環として、同社が発行する「小田急ポイントカード」を持たない来店客の行動を位置情報をAI(人工知能で)で分析するサービスを使った商圏分析に取り組んでいる。

 同百貨店では、バレンタインや北海道物産展など各種イベントを定期的に実施している。これらイベントには普段、同百貨店を利用しない人、すなわち同百貨店の会員カードを持たない人も多く訪れる。こうした顧客の性別や年代などの傾向を分析・可視化できるようにした。

 さらに、イベントに訪れた人が居住しているエリアや、その買い回り傾向、よく利用する店を分析することで、イベントを訪れた顧客に再度の来店をうながせる品揃えやサービスの提供に取り組む。

 そのために利用しているのが来店客の行動傾向を解析するための「Location AI Platform(LAP)」(クロスロケーションズ製)だ。LAPは、600億を超える位置情報データを蓄積し、その位置情報データをAIで分析・視覚化する。

これまでにLAPを使って、カード会員以外を含む来店客を対象に商圏分析を実施した。来店客が居住するエリア(実勢商圏)を把握するとともに、来店の可能性が高いエリアもわかってきた。

 東京・新宿店では、近隣のオフィスビルに勤めていると想定される人の行動傾向を分析し、分析対象者の買い回り傾向を把握することで消費者に対する自店舗の立ち位置を把握できたとしている。

 小田急百貨店はLAPを、実態に近い来店客の行動傾向が把握できることや、分析場所を自由に設定できること、1ライセンスで全店舗のスタッフが使用できること、料金設定、PCで簡単に操作できることを評価して採用したという。

 同百貨店では、購買の多様化や若年層の百貨店離れが進むなかで、鉄道沿線住民へのマーケティング活動だけでは不十分だと感じていた。また小田急ポイントカードは130万人以上が所有し、その会員データを分析し顧客像を理解しようとしているが、カード会員以外の来店客の情報を知る方法がなかった。

 今後はLAPを活用し、顧客にどのような情報をいつ、どこで提供すべきかを検討していく考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名小田急百貨店
業種流通・小売り
地域東京・西新宿(新宿店)など
課題ポイントカード会員以外の来店客の情報を知りたい
解決の仕組み大量の位置情報をAIで解析することにより来店者の行動を把握
推進母体/体制小田急百貨店、クロスロケーションズ
活用しているデータ大量の位置情報データ
採用している製品/サービス/技術「Location AI Platform(LAP)」(クロスロケーションズ製)