• UseCase
  • 製造

「天心」の溝上酒造、麹やもろみの発酵温度をIoTで遠隔監視へ

DIGITAL X 編集部
2020年4月15日

北九州市の地酒「天心」の蔵元である溝上酒造が、麹やもろみの発酵温度の遠隔監視にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を利用する。2020年2月から同3月末に実証実験を実施し、同10月から本番稼働させる予定だ。実証実験に参加するハピクロなどが2020年2月12日に発表した。

 溝上酒造は、北九州の地酒「天心」などの蔵元だ。今回、仕込み期間中の麹やもろみの発酵温度を遠隔監視するためにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を導入する。センサーで測定した温度をスマートフォンから確認できるようにすることで、最適なタイミングで温度調整ができるようにする(図1)。

図1:麹やもろみの発酵温度をセンサーで測りスマートフォンから確認する

 まず2020年2月から3月末にかけて実証実験を実施した。IoTによる温度管理システムにより、計測作業の負荷軽減や、他の作業をしながらでも温度を監視できることによる生産性の向上への寄与度合いを検証する。

 仕込み期間や約半年間におよび、その間の温度管理は、杜氏が経験と勘にもとづき昼夜を問わず温度を把握する。そのため小規模の酒造所では、職人が長時間現場から離れられず、他の作業を並行して行えないなど生産効率が悪いうえに、杜氏らへの精神的負担も大きかった。

 実証実験には溝上酒造のほか、北九州市の2社1校1団体が参加する。システム開発・運用などを手がけるソルネットと、IT/IoT導入支援などを手がけるハピクロ、北九州工業高等専門学校、北九州産業学術推進機構(FAIS)である。

 ソルネットが、全体のシステム化計画や要件定義、センサーの調査・選定・仕様を検討し、ハピクロがIoTシステムの構築と運用を担う。また両者がアプリケーションを開発する。北九州工専は温度センサーを開発・製造し、FAISがプロジェクト推進や実験の取りまとめ、機材の提供を担当する。

 溝上酒造は実証したシステムを2020年10月から本番稼働させたい考えだ。

 実験に参加した各社・団体は、実験から北九州地区でニーズが高い工場内や稼働中の製品の可視化に向けたモデルケースを創り出し、地場企業へのIoT導入を促進する。2020年4月には本システムを商品化し発売する予定である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名溝上酒造
業種製造
地域北九州市
課題麹やもろみの発酵温度の監視・調整に掛かる人手を軽減したい
解決の仕組み発酵温度をセンサーで測定しスマートフォンで確認することで、杜氏が現場を離れて他の作業を並行して行えるようにする
推進母体/体制溝上酒造、ソルネット、ハピクロ、北九州工業高等専門学校、北九州産業学術推進機構(FAIS)
活用しているデータセンサーで測定した発酵温度など
採用している製品/サービス/技術温度センサー、スマートフォン上のデータ可視化アプリケーション(ソルネットとハピクロが開発)など
稼働時期2020年2月〜3月末に実証実験を実施し、同10月から本番稼働させる予定