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やまや、たらこの検査やグレード判定を人手以上の精度で実行するAIの試験運用を開始

DIGITAL X 編集部
2020年5月19日

辛子明太子などを製造・販売する、やまやコミュニケーションズは、製造工程における、たらこの異物検査やグレード判定に使うAI(人工知能)を開発した。実証実験で人手以上の精度で認識できることを確認し、試験運用を始めている。2021年に建設する新工場に本格導入する計画だ。AIモデルを開発した日本IBMなどとともに2020年4月27日に発表した。

 やまやコミュニケーションズは、辛子明太子や出汁などの製造・販売や飲食店事業などを展開する企業。今回、辛子明太子の製造において、原料である、たらこの異物検査やグレード判定を実行するAI(人工知能)を開発し、試験運用を開始した。

 異物検査は、たらこから水産物に付着した微小な生物や繊維物などの異物が除去されているかどうかを検査する工程。グレード判定は、分類基準に基づいて、たらこのグレードを判定する固工程だ。いずれも人手で実施しているが、スキルを持つ人材の確保が難しく、属人化しない対策が必要なほか、生産性の向上が課題になっていた。

 試験運用に先立ち、異物検査とグレード判定に用いるAIモデルの実証実験を実施した。結果、人間が判断する精度と同等か、それ以上の精度で異物検査やグレード判定が可能だと判断した。

 グレードを判定するAIモデルは、ベテランの作業員が無意識に行っている判定基準をモデルの学習と評価を繰り返すことで有形の基準として顕在化させて開発した。それぞれの基準をAIモデルにして落とし込み、複数のAIモデルを組み合わせている。

 このAIモデルは、2021年に建設を予定している新工場に導入する計画だ。すでに工場へのAI実装の設計と構築をシステム開発会社のシグザムとで開始している。新工場は完全自動化を視野に入れており、AIを使って、さらなる生産コストの削減を図るとともに、新鮮かつ高品質な商品の提供に取り組む。

 なお日本IBMは実証実験において、AI専用サーバーとディープラーニング支援サービスを提供したほか、AI開発プラットフォーム「IBM Watson Machine Learning Community Edition」を使ったAIモデルを開発したうえで、同スキルをやまやに引き継ぎ、AIモデルを内製化できるようにした。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名やまやコミュニケーションズ
業種製造
地域福岡市(本社)
課題辛子明太子の原料である、たらこの異物検査とグレード判定を人手で実施しており、属人化せず、より生産性の高い仕組みを構築したい
解決の仕組み異物検査およびグレード判定にAIを活用する
推進母体/体制やまやコミュニケーションズ、日本IBM、シグザム
活用しているデータたらこの画像データ
採用している製品/サービス/技術AI専用サーバー、AI開発プラットフォーム「Watson Machine Learning Community Edition」(いずれも日本IBM製)
稼働時期2020年4月(試験運用)、2021年に建設する新工場に本番導入する計画