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順天堂大学、眼科におけるデータに基づく個別化医療システムを構築へ
順天堂大学が2020年5月から、眼科領域で初となる個別化医療システムの構築に向けた共同研究をジョンソン・エンド・ジョンソンのビジョンケアカンパニーと開始した。スマートフォンやウェアラブルデバイスを使って収集した健康データをAI(人工知能)で解析する。2020年5月12日に発表した。
順天堂大学が2020年5月に開始した「デジタル医療講座」は、眼の疾患を早期に発見し、個々の患者に最適な治療を提供するための医療システムを構築するのが目的だ。個別化医療システムの構築は、眼科領域ではこれが初めてという。ジョンソン・エンド・ジョンソンのビジョンケアカンパニー(J&J)と共同で取り組む。
医療の個別化に向けては、スマートフォンやウェアラブルデバイスといった「IoMT(Internet of Medical Things)機器」を使って個々人の健康やライフスタイルなどのデータを収集し、それをAI(人工知能)で分析する。患者の状態や治療方法、結果などをビッグデータとして蓄積し、個々人に適した治療法を抽出・提供する個別化医療や、先制医療に活用する計画である(図1)。
分析結果は、ドライアイの疑いや角膜異常のリスクなどの早期受診を促すデータとして患者に提供するほか、患者の日々の状態が可視化できるため、医師への診療支援データとしても提供する。
共同研究は3段階で実施する。第1段階では、スマートフォン用アプリケーションで個人の健康やライフスタイルに関連する観察研究を実施する。同時に収集した個人の健康データと実際の検診による診療情報の妥当性と信頼性を検証する。
第2段階では、収集したビッグデータをAIで解析し、疾患・罹患リスクや行動変容を促進するアルゴリズムの開発、および、その効果を検証する。
第3段階で、個別化医療・先制医療システムの構築および医療機関への情報提供を目的としたインフラを開発する。
眼科領域は個別化医療システムへの期待が高まっている。たとえば裸眼視力が1.0未満の小中高生の割合が2019年に過去最高を記録するなど子どもの近視問題が注目されている。最新の研究では、視力の低下と認知症の関連性が指摘されているほか、緑内障や60歳未満の白内障患者も増加傾向にある。
企業/組織名 | 順天堂大学 |
業種 | 医療・健康 |
地域 | 東京都文京区(本部) |
課題 | 眼科領域に置いて個々の患者に最適な治療を提供する個別化医療を実現したい |
解決の仕組み | スマートフォン用アプリケーションやウェアラブルデバイスなどで収集した個人の健康データをAIで分析し個別最適な治療方法を抽出する |
推進母体/体制 | 順天堂大学、ジョンソン&ジョンソン ビジョンケア カンパニー |
活用しているデータ | 患者の健康やライフスタイルに関連する情報など |
採用している製品/サービス/技術 | スマホアプリやウェアラブルデバイスといった「IoMT(Internet of Medical Things)機器」、AI |
稼働時期 | 2020年5月 |