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独BMWグループ、工場での部品の搬送を支援するAIロボットの開発を推進

DIGITAL X 編集部
2020年6月5日

独BMWグループが工場内で部品を搬送するためのAIロボットの開発を進めている。工場内のロジスティクスを改善し、顧客ごとにカスタマイズした自動車を、より早く、より効率的に生産できる体制を構築するためだ。ロボットの開発技術を提供する米NVIDIAが2020年5月14日(米国時間)に発表した。

 独BMWグループが工場でのロジスティクスを担う5つのAIロボットの開発を推進している。工場内での部品搬送に伴うワークフローの改良が目的だ。具体的には、自動車用部品を自律的に運搬するナビゲーションロボットや、部品を選定・整理するマニュピレーションロボットなどである(写真1)。

写真1:独BMWグループが開発を進める部品搬送用ロボット

 同グループが販売する自動車台数は、この10年間で250万台へと倍増し、部品の数が増え続けている。加えて各車両には平均100通りのオプションを用意しており、顧客からの注文の99%が異なる仕様になっている。結果、グループの工場には、4500以上のサプライヤーのサイトから数百万点の部品が届いており、工場内のロジスティクスの改善はが大きな課題になっている。

 BMWが開発中のロボットは、周囲の環境を把握し、物体を検知することで自律的に動作する。そのために、ディープニューラルネットワークを使って、(1)認識、(2)セグメンテーション、(3)ロボット自身および人間の姿勢評価を実行している。開発環境には、米NVIDIAが開発・提供する「Isaacロボティクスプラットフォーム」を採用した。

 ロボットには組み込み用プロセサ「NVIDIA Jetson」を搭載し、「EGXエッジコンピュータ」を活用してロボットのAIモデルを開発する。「NVIDIA DGX AIシステム」と「Isaacシミュレーションテクノロジー」を使ってロボットの学習とテストを実施している。学習を向上させるために、「NVIDIA Quadro レイトレーシングGPU」を使い機械部品をレンダリングしてもいる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名独BMWグループ
業種製造
地域独ミュンヘン(本社)
課題製造台数やカスタマイズ対応により自動車の部品数が増えており、工場内の搬送を見直し生産効率を高めたい
解決の仕組み自律的に動作するAIロボットを導入し工場内ロジスティクスのワークフローを改善する
推進母体/体制独BMWグループ、米NVIDIA
活用しているデータ工場における生産状況および材料・部品・人の位置情報など
採用している製品/サービス/技術NVIDIA Jetson、EGXエッジコンピュータ、Isaacロボティクスプラットフォーム、NVIDIA DGX AIシステム、NVIDIA QuadroレイトレーシングGPUなど
稼働時期2020年5月時点では開発中