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ゆうちょ銀行、コールセンター業務の効率を高めるためにAI導入へ

DIGITAL X 編集部
2020年6月9日

ゆうちょ銀行は2020年秋をメドに、コールセンターにAI(人工知能)を導入する。オペレーターの対応業務と、マネジャーの管理業務の双方の効率を高めるのが狙い。システムを提供するNTTデータとNTTテクノクロスが2020年5月19日に発表した。

 ゆうちょ銀行は2020年秋をメドに、全国のコールセンター約350席にAI(人工知能)による業務支援機能を持つシステムを導入する。現在、マニュアルなどに基づいて顧客対応しているが、オペレーターの対応品質の向上と処理時間の短縮が課題になっていた。新システムにより、オペレーターの業務品質に加え、マネジャーの管理業務の効率も高める(図1)。

図1:ゆうちょ銀行が導入する新システムの利用イメージ

 オペレーター業務に対しては、まずコールセンターでの通話内容をリアルタイムにテキスト化して画面に表示することで、聞き漏らしや説明の抜け漏れを防ぐ。

 問い合わせに関連するFAQ(良くある質問と回答)を自動検索し、経験が浅いオペレーターの回答候補検索時間を短縮し、誤回答を低減させる。さらに、要約文を自動で作成することで、通話終了後に発生するオペレーターの作業を削減する。

 一方のマネジャーに対しては、通話内容のテキスト化機能を使って複数のオペレーターをモニタリングできるようにする。NGワードなど特定の単語の発話や保留状況を検知しトラブルが発生していないかどうかを可視化する。

 テキスト化した通話情報や応対時の感情状態などから応対履歴を検索することで、通話データの確認業務の効率を高める。蓄積したVoC(顧客の声)を分析し、オペレーターの応対品質の向上や商品/サービス、事務手続きの改善につなげる。

 導入するシステムは、NTTデータとNTTテクノクロスが提供する「Fore Sight Voice Mining」。NTTグループのAI技術「corevo(コレボ)」が持つ音声認識や日本人特有の感情分析、日本語解析の技術を利用している。

 Fore Sight Voice Miningの導入に向けては、その効果を検証する実証実験を2018年10月~12月に実施した。結果、音声認識とFAQ検索により、経験が浅いオペレーターの対応品質が高まるとともに、処理時間を3割削減できた。この結果をもって全国のコールセンターに本格導入することを決めた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ゆうちょ銀行
業種金融・保険
地域東京都千代田区(本社)
課題コールセンターのオペレーターの対応品質を向上させるとともに処理時間を短縮したい
解決の仕組みAIにより通話内容をテキスト化し、聞き漏らしの防止やFAQの自動検索ができるようにする
推進母体/体制ゆうちょ銀行、NTTデータ、NTTテクノクロス
活用しているデータコールセンターにおける通話内容
採用している製品/サービス/技術「Fore Sight Voice Mining」(NTTデータとNTTテクノクロスが提供)
稼働時期2020年秋ごろを予定