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南都銀行、業務改革ソリューションの導入で店舗業務をデジタル化

池田 真也(DIGITAL X 編集部)
2020年6月10日

南都銀行が店頭業務のデジタル化を推進している。2020年6月にはローカウンター業務でのタブレット端末の適用業務を拡大、2020年度内には全店舗の窓口でタブレット端末を活用する予定だ。タブレット端末は2019年4月から導入を始めており、伝票削減や受付の待ち時間短縮などの成果を上げている。店頭業務支援システムなどを提供する富士通が2020年6月8日に発表した。

 南都銀行は、2020年からの経営計画「なんとミッションと10年後に目指すゴール」において、10年後に「活力創造No.1グループ」になることを目指している。その達成には、これまで以上に行員が、地域の顧客の事業や資産運用のコンサルティングに専念できる環境づくりが必要だと判断している。

 そのため、事業戦略の一環にデジタル技術の活用を挙げる。具体的には「ペーパーレス」「キャッシュレス」「バックレス」を軸とした事務改革によって行員の業務負担を軽減する。事務手続きの改革を進めることで、店頭での顧客の待ち時間を減らし、顧客サービスの向上につなげたい考えだ(図1)。

図1:南都銀行が目指す次世代営業店への変革イメージ

 デジタル化の施策として2020年6月、ローカウンター業務に導入している「受付ナビゲーション」の対象を住所変更などの諸届に拡大。これを機に2020年度内に全店で活用できるようにする。

 受付ナビゲーションは、業店システムのインタフェースもAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)化することで、勘定取引や更新、照会をタブレット端末などから利用可能にしたもの。2019年7月に口座開設業務から導入し、受付時間を最大3割削減できたという。

 並行して一部店舗では、ATM(現金自動預払機)と窓口カウンターを一体化したセミセルフ型の事務処理窓口「クイックカウンター」を2019年4月から導入してきた。顧客と行員がともにATM処理を進めることで入金伝票や振込依頼書などが不要になる。これまでに26店舗に導入し、伝票を約4割削減できた。サービス向上と事務負担の削減の両立が可能とみて、2020年度内に40店舗に追加展開する。

 今後は、スキャナーを活用して営業店の後方事務を別拠点の集中センターへ集約するなどし、事務ルールや体制の見直しを図る。店舗のSBT(Super Banking Terminal)端末をタブレットに置き換えることで、営業店の事務スペースを現状の7割から3割に削減できる見込みだ。すでに1店舗で試行を始めている。

 余剰スペースは、コンサルティング、あるいは地域貢献や異業種連携地域への活用を検討し、「地域課題を解決する次世代営業店」の実現を目指すとしている。

 南都銀行がデジタル化で採用しているのは、富士通が金融機関向けに提供するデジタルチャネルを実現するサービス群「デジタルチャネルサービスFinplex Digital Branch」である。

 受付ナビゲーションには、顧客接点のための「Finplex サービス統合基盤 FrontSHIP」と、行内API基盤「Finplex BranchAPIs」、営業支援の「Finplex スマート営業APIサービス群 neXessary」を使用。クイックカウンターには、手続き情報の入力をデジタル化する「Finplex Quick Counter for Banking」を使っている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名南都銀行
業種金融・保険
地域奈良市(本店)
課題経営計画「なんとミッションと10年後に目指すゴール」達成に向け銀行業務をデジタル化し行員の負担軽減と顧客サービス向上を図る
解決の仕組み機械操作や伝票処理などで煩雑だった窓口やローカウンター業務をデジタル化し、ペーパーレス化・キャッシュレス化・バックレス化を図る
推進母体/体制南都銀行、富士通
活用しているデータ店舗営業システムのデータ
採用している製品/サービス/技術「デジタルチャネルサービス Finplex Digital Branch」サービス群(富士通製)
稼働時期2019年4月(セミセルフ型の事務処理窓口「クイックカウンター」導入)、2020年6月(ローカウンター業務にタブレット端末を使う「受付ナビゲーション」導入)、受付ナビゲーションは2020年内に全店導入、クイックカウンターは2020年度中に40店舗に追加導入(2020年6月時点は26店舗)の予定