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KDDI、生活習慣病の重症化予防にスマホデータを活用する実証実験をグループ社員ら対象に実施

DIGITAL X 編集部
2020年6月12日

KDDIは、生活習慣病の重症化予防にスマートフォンのデータを活用する実証実験をKDDIグループの社員とその家族を対象に実施する。名古屋大学医学部発のスタートアップ企業PREVENTが開発する重症化予防プログラム「Mystar」を利用する。KDDIはPREVENTTと業務提携し出資もする。2020年5月20日に発表した。

 KDDIが実施するのは、医療専門者が提供するオンラインでの生活指導に対し、スマートフォン経由で取得できる個人の行動ログを組み合わせることで、生活習慣病の重症化の予防に、どのような効果をもたらせるかの検証である(図1)。

図1:生活習慣病の重症化予防に向けた実証実験の概要

 医療専門家の生活指導には、名古屋大学医学部発のスタートアップであるPREVENTが開発する重症化予防プログラム「Mystar」を利用する。

 Mystarは、患者本人が生活習慣を改善できるように医療専門職が生活指導を完全オンラインで提供するサービス(図2)。そのために、ウェアラブルデバイスとスマートフォン用アプリケーションを使って、歩数や心拍数、血圧、食事内容、尿塩分濃度、対話・指導ログなどのデータを取得する。

図2:「Mystar」が提供する生活指導サービスの概要

 実験では、Mystarが持つデータに、KDDIがスマートフォン経由で取得・蓄積しているWebへのアクセスログや、測位ログ、決済ログ、サービス利用ログなどのデータを組み合わせる。

 具体的には、実験の参加者本人の許諾を得たうえで、KDDIがスマートフォンデータをKDDI総合研究所に提供。Mystarを利用し始める前の生活習慣の特徴の分析し、生活指導の介入効果などを予測する。歩数・心拍数などMystarが取得するデータにスマホデータを加えて分析することで、オンラインでの生活指導の高度化・効率化を検証する。

 実験の対象者は、KDDIグループの社員と、その家族のうち、高血圧もしくは糖尿病に対する薬を服薬中の人や、健康診断などで血圧ならびに糖尿病の数値が管理基準を超えている人など約100人。実験は2020年4月から同年9月まで実施する。

 今回KDDIは、PREVENTと業務提携契約を結ぶとともに出資もする。KDDIは今後、Mystarの販売を支援するほか、Mystarが取得したビッグデータの解析やAI(人工知能)の導入などによりMystarの高度化・効率化を図る。

 2020年秋以降は、生活習慣病にかかわる医療機関や研究機関、および生活習慣病に伴う医療費負担の適正化などの課題を抱える自治体や健康保険組合などと組ながら、複数の実証実験を実施し、データに基づく生活習慣改善プログラムの実用化を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名KDDI
業種通信
地域東京都千代田区(本社)
課題生活習慣病予防などデジタル技術を用いたヘルスケアサービスの開発・拡充を図り、事業化したい
解決の仕組み生活指導をオンラインで提供するサービスに、スマホ経由で取得できる個人の行動データを組み合わせることで、生活習慣病の改善に向けた生活指導の内容を高度化・効率化する
推進母体/体制KDDI、KDDI総合研究所、PREVENT
活用しているデータ歩数、心拍数、血圧、食内容、尿塩分濃度、対話・指導ログ、スマートフォン経由で取得するWebアクセスログや測位ログ、決済ログ、サービス利用ログなど
採用している製品/サービス/技術オンライン生活指導プログラム「Mystar」(PREVENT製))、スマートフォン
稼働時期2020年4月から同年9月(KDDIグループの社員と、その家族のうち生活習慣病を抱える約100人を対象にした実証実験の期間)