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岩手医科大学、大動脈瘤の画像診断にAIを活用する実証実験

DIGITAL X 編集部
2020年6月26日

岩手医科大学は医療画像から大動脈瘤をAI(人工知能)で測定する実証実験に取り組む。併せて、手術適応の可能性を示す臨床意思決定支援システムの開発・検証も実施する。AI画像診断エンジンを提供するNTTデータが2020年5月29日に発表した。

 岩手医科大学の附属病院は、地域の中核病院。医療画像診断を必要とする多くの患者に対応しており、画像から疾病を判断する放射線科医の負担軽減が課題になっている。そこで医療画像をAI(人工知能)で解析し疾病を同定できるようにする(図1)。

図1:AIを使った画像診断支援の画面例

 そのための実証実験として、大動脈瘤を対象にした画像分析に取り組む。岩手医科大学附属病院が持つ患者2万7000人分の医療画像データをAI画像診断エンジンで学習し、医療画像から大動脈瘤の同定および自動計測を実施する。

 併せて、診療ガイドラインに従った大動脈瘤の手術適応の可能性を提示する臨床意思決定支援システムの開発・検証も実施する。実証期間は2020年6月19日から2023年1月31日までを予定する。

 画像診断エンジンには、NTTデータが開発する仕組みを使う。医療画像を分析し、疾患の可能性のある個所を画像上とテキストで表示する。

 岩手医大とNTTデータは、実証実験の結果を踏まえ、2021年度中に実際の診断業務における医師の負担削減効果を検証する。並行して、大動脈瘤以外の疾病を検出・特定するアルゴリズムの開発と検証も実施する予定である。

 大動脈瘤は、超高齢化を迎える日本では社会問題になると予想されている。画像診断を専門とする放射線科医は、効率的に大動脈瘤を診断すること求められるようになるが、放射線科医は世界的に不足しているのが現状だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名岩手医科大学
業種医療・健康
地域岩手県紫波郡矢巾町(本部)
課題高齢化が進む中で大動脈瘤は社会問題化するとみられるが、画像診断を担当する放射線科医が世界的に不足している
解決の仕組みAI(人工知能)を使って画像を解析し動脈瘤の有無を自動測定する仕組みや、手術適応の可能性を提示する臨床意思決定支援するシステムを構築する
推進母体/体制岩手医科大学、岩手医科大学附属病院、NTTデータ
活用しているデータ患者2万7000人分のCT画像など
採用している製品/サービス/技術AI画像診断支援ソリューション(NTTデータ製)
稼働時期2020年6月19日から2023年1月31日まで(実証実験期間)