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つるかめ農園、水田の水位を24時間監視するために水位センサーを試験導入

池田 真也(DIGITAL X 編集部)
2020年6月29日

千葉県いすみ市にあるつるかめ農園が、有機無農薬の稲作で重要な水の管理を徹底するために、水田の水位を24時間監視する水位センサーを試験導入した。見回り作業などの負担軽減を期待する。システムを提供するNTT東日本などが2020年6月3日に発表した。

 千葉県いすみ市のつるかめ農園は、肥料や農薬を使わない自然栽培の米作りに取り組んでいる。除草剤を使わない雑草対策では、通常よりも水を深く張る「深水管理」という手法を用いている。水位をより厳密に管理する必要があるが、多数の水田を管理するには、毎日の見回り作業などが負担になっていた。

 今回、水田の水位を専用センサーで24時間監視するシステムを2020年6月〜8月まで試験導入し検証する。水位センサーが取得したデータはクラウドに送信し、水位の状況を自宅からリアルタイムに監視できるようにする。漏水などの異常と思われる急激な水位変化があれば、アラートをメールで送信する(図1)。

図1:つるかめ農園が検証する水位監視システムの全体像。水位センサーのデータをグラフや地図などの形で可視化する

 水位センサーを独自に開発した。多くの農家が導入しやすいよう、水位計測に必要十分な機能に絞ることで、一般的な市場製品よりも安価にした。無線通信には、低消費電力で広域通信ができるLPWA(Low Power Wide Area)規格を採用。単3電池2本で6カ月、運用できるとしている(図2)。

図2:水田に設置された水位センサー。価格を抑えるために必要十分な機能に絞った

 今回の支援導入は、つるかめ農園と、ワイヤレスデザイン、IoTBASE、NTT東日本、いすみ市が共同で実施するプロジェクト。つるかめ農園が水田と農家からのアドバイスを提供し、水位センサーの開発やIoT通信環境の構築をワイヤレスデザインが、IoTデータの可視化をIoTBASEが担当し、NTT東日本がプロジェクト全体を統括する。

 いすみ市は、今回の検証結果をふまえ、地域の農業での活用を検討していく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名つるかめ農園
業種農林水産
地域千葉県いすみ市
課題有機米栽培における水田の水管理の効率化を図りたい
解決の仕組み水位センサーで水田の水位を24時間監視する
推進母体/体制つるかめ農園、ワイヤレスデザイン、IoTBASE、NTT東日本、いすみ市
活用しているデータ水位データ
採用している製品/サービス/技術水位センサー(独自開発)、IoTデータ可視化アプリ「Canvas」(IoTBASE製)
稼働時期2020年6月~2020年8月(試験導入期間)