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日本医師会、医療の高度化支えるAIを使った診断・治療システムを2022年に実装へ

DIGITAL X 編集部
2020年7月9日

医療の高度化を医療従事者の負担を抑えながら実現するために、AI(人工知能)を使った診断・治療システムの構築プロジェクトを日本医師会が開始した。2022年の社会実装を目指す。2020年6月10日に発表した。

 日本医師会が開始したのは、「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の社会実装に向けたプロジェクト。医療の質の確保と医療関係者の負担を軽減する医療用のAI基盤を開発する(図1)。同基盤を介し画像診断や問診、治療方針の提案などで医師を支援する。民間の診療センターや保険会社も利用できるシステムとし、2022年の社会実装を目指す。

図1:プロジェクトが計画する、AIホスピタルによる高度診断・治療システムの概要

 同プロジェクトは、医療従事者の負担削減を目的に「内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の第2期で採択された。SIPは、日本の科学技術イノベーションを実現するための国家プロジェクトだ。

 医療用AI基盤の開発には、日本医師会のほか、日本ユニシスや日立製作所、日本IBMらが参画。ソフトバンクと三井物産も協力機関として参加する。

 日本ユニシスと日立製作所は、AI基盤の設計・構築と、同基盤を通して提供するサービスの企画・開発を担当。日本IBMはグローバルでの知見を含め、医療を支援するAIを開発するための技術の提供、サービス基盤の拡充支援、医療従事者を支援するAIアプリケーションの開発を担当する。

 ソフトバンクは、5Gをはじめとする通信ネットワークやユーザー認証機能の提供・検証を担当する予定。三井物産は、アジアでの病院事業を含む海外のネットワークを生かし、AIを使った診断・治療システムの社会実装およびAIホスピタルの国際化に向けた検証を支援する。

 医療の分野では、医療の高度化や先進化、多様化、個別化の進展に伴い、医療関係者と患者や家族の間、あるいは医療関係者とおよび先端研究者の間に、知識や情報の格差が生じている。実際に治療にあたる医療従事者の負担も増加している。

 そのため、最先端の診断や治療法を医療現場に普及させるには、技術の標準化やデータの解釈などを厳格に規程する必要があると考えられている。検査結果の解釈などにおけるミスは患者の健康被害につながることがあるからだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本医師会
業種医療・健康
地域東京都文京区(本部)
課題医療の高度化などにより医療従事者の負担が増加している
解決の仕組み画像診断や問診、治療方針の提案などの医療行為を支援するAIを開発し、医療関係者や関係事業者が利用できるように
推進母体/体制日本医師会、日本ユニシス、日立製作所、日本IBM、ソフトバンク、三井物産
活用しているデータ診断・治療に関する各種データ、画像情報など
採用している製品/サービス/技術 AI技術、5Gなど
稼働時期2020年6月10日(開発プロジェクトの開始時期)、2022年の社会実装が目標