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昭和四日市石油、作業の安全性向上と技術継承に向けウェアラブルデバイスなどを導入

DIGITAL X 編集部
2020年7月10日

出光昭和シェルグループの昭和四日市石油は、製油所で働く作業員の安全確保と若手への技能伝承を進めるため、ウェアラブルデバイスを使った見守りシステムなどを導入した。広大な製油所で働く作業員の若年化が進んでおり、IoT(Internet of Things::モノのインターネット)の仕組みを利用する。システムを提供した日鉄ソリューションズ(NSSOL)が2020年6月11日に発表した。

 昭和四日市石油が導入したのは、作業員の見守りと作業の遠隔支援、および設備の異常検知の3つのシステム。製油所で働く作業員の若年化に伴う、人的エラーの防止と作業員の安全確保、技術継承の課題解決を期待する(図1)。2018年11月にプロジェクトを開始し、2020年6月までに4部門へ導入する。

図1:昭和四日市石油が導入した、現場作業員や設備を対象にしたシステムの概要

 具体的には、(1)作業モニタリングの「安全見守りくん」(日鉄ソリューションズ製)、(2)遠隔作業支援アプリケーションの「ARPATIO(アルパティオ)」(同)、(3)設備監視の「NHM(マシナリヘルスマネジメント)システム」(日本エマソン製)の3システム。

 安全見守りくんは、ウェアラブルデバイスを使って作業員の位置や脈拍など動態や体調に関する情報を取得し、管理者が遠隔から把握するためのシステム。事故や災害などの発生を素早く検知し、救助できる体制を整える。

 発生したインシデント(事故)情報をデータベースに登録し危険な場所として管理することで、作業員が近づいたらアラートを出す仕組みもある。

 ARPATIOは、スマートフォンを使って映像をリアルタイムに共有するほか、マイクとイヤホンでのグループ通話ができるシステム。熟練者がリモートで作業員に適切な作業指示を出すことで、作業の安全性を確保するするとともに、技術の継承にも利用する。

 NHMシステムは、工場設備の振動を監視するシステム。設備の異常を遠隔から検知する。今後は収集・蓄積したデータを解析し、より精度の高い予知保全を実現する予定である。

 昭和四日市石油は、日量25万5000バレルの原油処理能力を持っている。広大な製油所のどこかで作業員が万一事故や体調不良になり発見が遅れれば命にもかかわる。そのため、映像や位置情報を共有し、作業支援と安全確保を両立できるシステムを求めていた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名昭和四日市石油
業種製造
地域三重県四日市市(本社)
課題製油所で働く作業員の若年化が進んでおり、安全確保と技術継承が課題になっていた
解決の仕組みウェアラブルデバイスやスマートフォン、振動監視などで作業員の位置や体調、および設備の稼働状況を遠隔地から把握する
推進母体/体制昭和四日市石油、日鉄ソリューションズ(NSSOL)
活用しているデータ脈拍など作業者の体調に関する情報、作業者の位置情報、作業状況のリアルタイム映像、設備の振動情報など
採用している製品/サービス/技術現場作業モニタリング「安全見守りくん」(日鉄ソリューションズ製)、遠隔作業支援「ARPATIO」(同)、振動監視「NHMシステム」、(日本エマソン製)
稼働時期2020年6月(4部門への導入時期)