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竹中工務店と鹿島建設、タワークレーンの遠隔操作システムを共同開発

DIGITAL X 編集部
2020年7月22日

タワークレーンを遠隔操作するためのシステムを、竹中工務店と鹿島建設が共同で開発した。高所での長時間作業などはオペレーターの身体への負担が大きい。これを軽減し作業環境の改善を図る。2020年6月16日に発表した。

 竹中工務店と鹿島建設が開発した「TawaRemo」は、タワークレーンを遠隔地に配置したコックピットから遠隔操作するためのシステム。今回、大阪のコックピットから名古屋に設置したタワークレーンの操作に成功した(図1)。

図1:タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo」の概略

 高層ビルの建設に使うタワークレーンは、運転席まで最大50メートルほどのはしごを上って行く必要があり、作業開始から終了まで、オペレーターが長時間拘束されるため身体への負担軽減や作業環境の改善が求められていた。

 TawaRemoでは、タワークレーンの運転席周辺に複数のカメラを設置し、その映像をネットワーク経由でコックピットのモニターに表示する。荷重などを示す動作信号や異常信号を表示する専用モニターも置く。さらに、ジャイロセンサーによりタワークレーンの振動や揺れをで検知し、オペレーターが体感できるようにすることで、タワークレーンの操縦席と同等の環境を再現しているという(図2)。

図2:遠隔操作するための専用コックピット

 この仕組みにより、遠隔地からの操縦のほか、複数の若手オペレーターに対し1人の熟練者が遠隔地から指導教育も可能になる。

 これまでに実機での検証を2019年9月に開始し、通信環境やコックピットの改良・改善を繰り返してきた。2020年1月には、材料の積み込み・積み下ろしが可能になっていた。通信には、NTTドコモの法人向け回線「アクセスプレミアム」を採用しているが、今後は5G(第5世代移動体通信システム)回線の導入も検討する。

 開発においては、建機レンタル会社のアクティオとカナモトと共同で取り組んだ。アクティオが自社のタワークレーンへの遠隔操作システムを導入を担当、カナモトが通信システムを担当した。カナモトが開発した通信システム「KCL(Kanamoto Creative Line)」を使うことで、セキュリティーの強化と低遅延な操作を実現しているという。

 今後は、コックピットの増産とタワークレーンへの遠隔操作システムの搭載を進め、2020年度中の本格運用を目指す。またタワークレーン以外の工事用機械への導入も視野に開発を進める。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名竹中工務店/鹿島建設
業種製造
地域大阪市(竹中工務店本社)、東京都港区(鹿島建設本社)
課題高所で作業するタワークレーンのオペレーターの身体的負担の軽減と作業環境を改善したい
解決の仕組みタワークレーンの遠隔操作システムを開発し、遠隔地からタワークレーンを操作できるようにする
推進母体/体制竹中工務店、鹿島建設、アクティオ、カナモト
活用しているデータタワークレーン周辺の映像、コックピット内部の映像、建設材料の荷重情報、タワークレーンの振動揺れなどの情報
採用している製品/サービス/技術「アクセスプレミアム回線」(NTTドコモ製)、通信システム「KCL(Kanamoto Creative Line)」(カナモト製)
稼働時期2020年度中に本格運用を目指す