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北海道・増毛町など、密漁船や水中の不審ダイバーの監視システムを運用開始

DIGITAL X 編集部
2020年7月30日

北海道の増毛郡増毛町は、密漁船や不審ダイバーを監視するシステムをOKI(沖電気工業)と共同で開発し、実運用を開始した。道内の古宇郡泊村と岩内郡岩内町も順次運用を開始する。システムはOKIが販売もする。2020年6月24日に発表した。

 北海道の増毛郡増毛町が実運用を始めたのは、アワビやナマコなどを狙った密猟船や水中の不審なダイバーを監視するためのシステム。水中の音を水中音響センサーで集め、クラウド上で分析。不審な音を検知すると登録先にメールで知らせる(図1)。

図1:水中音響センサーを使った密漁監視の仕組み

 近年、アワビやナマコなどの高級食材は、組織化・大規模化された密漁団に狙われている。カメラやレーダーを使った監視や、人手によるパトロールにより防ごうとしているが、人件費や装置コストの負担が大きい。加えて夜間は、無灯火の船と水中のダイバーの両方を監視し不審者を発見するのが難しい。

 水中音響センサーによる監視では、水中を伝わるさまざまな音から、船のエンジン音やスクリュー音、ダイバーの呼吸音などをリアルタイムに検出する。昼夜を問わず、不審船や不審なダイバーの接近をいち早く検知し通知できるとしている。水中音響センサーはみずから音を発信せず、海中音を受信する。

 監視システムは、増毛町と、水中音響のセンシング技術を持つOKI、および矢口港湾建設の3社で開発した。総務省の「平成30年度IoTサービス創出支援事業」を受託し、実用化に向けた検証を実施してきた。

 2018年度に実用化検証をスタート。2019年度には水中音響センシング部の耐雑音性を高め、水中音検出性能を改善する追加実験に取り組み、システムの実用化に成功した。

 開発したシステムは、「密漁監視ソリューション」としてOKIが販売する。販売開始に当たり、道内の古宇郡泊村と岩内郡岩内町が同ソリューションを導入する。現地での施行にはヤグチダイバーが協力する。

 OKIは今後、システムを運用する3海域から得られるデータを蓄積し、季節や海象、地形などを加味した密漁監視用データベースを構築することで、密漁監視の高度化を進めるという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名北海道・増毛郡増毛町、古宇郡泊村、岩内郡岩内町
業種公共
地域北海道・増毛郡増毛町、古宇郡泊村、岩内郡岩内町
課題アワビやナマコなどの高級食材の密猟が、組織化・大規模化しており、監視を強化しているが、人手やコストが掛かるうえ、夜間は不審船や水中のダイバーの監視が特に困難になる
解決の仕組み水中を伝わる音から船のエンジン音やスクリュー音、ダイバーの呼吸音を検出し、不審船や不審なダイバーを早期に検知する
推進母体/体制北海道の増毛郡増毛町、古宇郡泊村、岩内郡岩内町、OKI(沖電気工業)、矢口港湾建設、ヤグチダイバー
活用しているデータ水中の音(音響センシング技術により、船のエンジン音やスクリュー音、ダイバーの呼吸音を抽出)
採用している製品/サービス/技術水中音響センシング技術(OKI製)
稼働時期2020年6月