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AGC、熟練技術者の知識をAIを使って取り込むQ&Aシステムを導入

DIGITAL X 編集部
2020年7月31日

ガラス製造大手のAGCは、社内のQ&Aシステムにおいて、熟練技術者が保有する知識をAI(人工知能)を使って収集し回答を拡充できる仕組みを導入した。若手技術者が必要とする知識を熟練者から自動で引き出せるようにすることで、技術伝承を図る。AIベンチャーのFRONTEOと共同で開発した。2020年7月2日に発表した。

 AGCが開発した「匠KIBIT」は、社内のQ&AシステムをAI(人工知能)を使って、回答精度を高めるための仕組み。グループ内の技術者が熟練技術者が持つ知識を容易に引き出せるようにすることで、ガラス製造における技術伝承を促進するのが狙い(図1)。

図1:匠KIBITのプロセス

 すでに国内のガラス製造拠点を中心に運用を開始している。ガラス製造には、溶解、成形、加工などの複数の技術が求められる。技術力は他社との差別化要因である一方で、各工場が蓄積したノウハウの共有や熟練技術者の技能伝承が課題だった。

 匠KIBITは通常、入力された質問の特徴をAIで学習し、スコアを付けることで、類似度が高い質問にひも付けられた回答を提示する。

 この流れで適切な回答が見つからない場合は、AIが該当するであろう熟練技術者を推定し、質問文を自動で作成してメールで回答を依頼する。受け取った回答文から回答をQ&Aシステムに追加し、回答者に回答する。

 匠KIBITは、ACGが2017年度から実施してきた熟練技術者の技能伝承プロジェクト「匠プロジェクト」の一環として開発した。AIには、AIベンチャーのFRONTEOが保有する自然言語解析AIエンジンKIBIT(キビット)を採用している。

 AGCは、国内のガラス製造拠点で2017年からトライアル利用を続けてきた。月に300件以上の質問が寄せられ、技能の共有と伝承に成果を上げているとする。今後は匠KIBITを、欧州を含む世界中のガラス製造拠点に展開していく考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名AGC
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題熟練技術者の技能を若手技術者に伝承する仕組みを構築したい
解決の仕組みQ&Aシステムに熟練技術者が持つ知見を自動的に聞き出し、知識として蓄積できるようにする
推進母体/体制AGC、FRONTEO
活用しているデータガラス製造に関する熟練技術者の知見
採用している製品/サービス/技術自然言語解析エンジン「KIBIT」(FRONTEO製)
稼働時期2017年(トライアル開始時期)