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マイナビダイレクト、コンタクトセンターのコロナ対応でKPIの見直しとAIチャットボットを導入

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年7月31日

マイナビ傘下でコンタクトセンター業務を手掛けるマイナビダイレクトは、新型コロナ対策でオペレーターの在宅勤務などに加え、AIチャットボットを導入した。CSソリューション部 部長の千葉 昭彦 氏が、コンタクトセンター向けクラウドサービスなどを手掛ける米ジェネシス日本法人の報道機関向け事業説明会に登壇し、コロナ禍での対策例を話した。

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 マイナビの100%子会社であるマイナビダイレクトは、グループ内だけでなく、BPO(Business Process Outsourcing:業務プロセスアウトソーシング)事業として多くの企業のコンタクトセンター業務を担当している。札幌市にある200席のコンタクトセンターが拠点で、そのバックアップとして東京に20席強のコンタクトセンターを持つ。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、同社の顧客企業のなかでも通信販売業などでは大幅に業務量が増え、その対応に追われた。一方でコンタクトセンターは、“3密の象徴”とも言われるほどに密接度が高い勤務形態が一般的。感染が広がる中で、従来通りの環境での業務継続は不可能だ。

3密回避は稼働率の低下に直結、KPIを見直し

 マイナビダイレクトはまず、東京センターの運用を全面的にテレワーク体制に切り替えた。CSソリューション部 部長の千葉 昭彦 氏は、「当社は、クラウド型のコンタクトセンターサービス『ジェネシスクラウド』を使っており、在宅への移行はスムーズで、特に問題はなかった」と話す。現在もテレワークを継続中だ。

写真1:マイナビダイレクトCSソリューション部 部長の千葉 昭彦 氏

 一方の札幌センターは、規模が大きく、顧客との契約の関係からセンターでの対応を継続する必要があった。千葉氏は、「密の状態を解消するためには席と席の間隔を空けざるを得ない状況だが、それは受託している業務の稼働率を下げることになり、簡単には選択できない。一方で問い合わせ業務は急増しており、両者にどう対処するか非常に難しい対応を迫られた」と、当時を振り返る。

 そこでマイナビダイレクトが採ったのがKPI(重要業績評価指標)の見直しだ。これまでの通常の業務でのKPIが「着電に対する応答率」だったのを「対応率」の向上に舵を切ることにした。

 対応率は、受け付けている問い合わせに対し、どれだけ対応できているかを示す指標で、解決率と言っても良い。複雑な問い合わせでは1人の顧客が何度も問い合わせをしてくる。それらにどれだけ対応し解決できたかという成果を新たなKPIとした。もとより問い合わせが急増し、なかなかつながらない状況でもあったので、一度受けた問い合わせを、どう解決していくかを軸にする方針に転換したのである。

AIチャットボットでオペレーターの役割を最適化

 対応率重視の方針を決めた後に考えたのが、受けた電話を限られたオペレーターリソースに対し、できる限り効率よく配分することだ。マイナビダイレクトは以前から、時間を取られる問い合わせへのオペレーターの対応について全体として効率化を図りたいと考えていた。「その問題がコロナ禍で顕著化した」(千葉氏)という。

 千葉氏が目を付けたのが米GoogleのAIチャットボットである。マイナビダイレクトのコンタクトセンター機能を提供している米ジェネシスとGoogleは提携関係にあり、ジェネシスクラウドとGoogleのコンタクトセンター機能「Contact Center AI」の連携が可能だった。コロナ禍で両社はAIチャットボット「バーチャルエージェント」を90日間無償提供する緊急支援策も打ち出していた。

 具体的な適用業務として千葉氏は、ある大手企業からの受託業務に注目した。「代表窓口の下に部署別の問い合わせ窓口が複数ある枝分かれ構造になっていた。代表電話への問い合わせへの対応は、個別窓口の電話番号やメールアドレスを伝えるというシンプルなフローである。これをAIチャットボットに置き換えれば、オペレーターをより複雑な対応が必要な問い合わせに振り向けられる」(千葉氏)からだ。

 問い合わせの急増とリソースの減少という課題にマイナビダイレクトは、クラウドサービスとAIチャットボットの組み合わせで対応した。千葉氏は、「今後もシンプルに業務を切り分けながら、AIによる一次完結率を高めるなど、コンタクトセンターの対応力の改善を進めていきたい」と話す。