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トライアルホールディングス、セルフレジやAIカメラを採用したスマートストアを千葉市にオープン

DIGITAL X 編集部
2020年8月4日

スーパーマーケットを展開するトライアルホールディングスは2020年7月3日、千葉市でスマート化を図った店舗をリニューアルオープンした。セルフレジ機能を持つショッピングカートやAI(人工知能)カメラを導入している。小売店のデジタル化を推進する旗艦店に位置付ける。同日に発表した。

 トライアルホールディングスは福岡県を中心にスーパーマーケットを展開する小売業。デジタル技術を使った店舗のスマート化に自ら取り組んできた。その取り組みの旗艦店となる「スーパーセンタートライアル長沼店」を2020年7月3日、千葉市でオープンさせた。セルフレジ機能を持つ「スマートショッピングカート」やAI(人工知能)カメラを使った商品管理などを導入した。

 スマートショッピングカートは、ハンドル部分にタブレット端末を搭載する。顧客は、購入商品をカートに入れる際にタブレット端末でスキャンすることで、レジを通らずに会計を済ませられる(図1)。顧客はレジ待ち時間を削減できる一方、レジ担当スタッフの人員不足の解消を期待する。

図1:セルフレジ機能を搭載したスマートショッピングカート

 同社はこれまでに19店舗で計2000台のスマートショッピングカートを導入している。タブレット端末では、顧客が購入した商品に応じてたお薦め商品やクーポンを表示してきたが、長沼店では、スキャンした商品に合わせたレシピを提案する機能も追加した。

 AIカメラは今回、688台導入する。トライアルグループが独自開発したAIで、来店者数をカウントしたり商品を認識したりができる(図2)。店内の人の流れや商品棚の欠品状況をデータ化し、人の流れの改善や欠品を起こしにくい商品棚作りに役立てる。

図2:人物カウントや商品認識等に特化したAIカメラ

 同社はスマートストアにおいて、「リアイル」と呼ぶリテールAIプラットフォームプロジェクトを推進している。メーカーや卸、物流など、さまざまな企業と連携し、小売りにかかわるデータを共有するためのプラットフォームの形成が目的だ。

 トライアル長沼店では、サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム、フクシマガリレイ、ムロオの5社が参画し、店舗を運営している。各社の役割は表1のとおりである。

表1:トライアル長沼店での「リアイル」における各社の取り組み
会社名取り組み内容
サントリー酒類酒カテゴリーおよび併売カテゴリーにおける売り上げ分析、人流データを基にしたスマートショッピングカートとサイネージを使ったスマートな買い物体験の提供
日本アクセス洋日配カテゴリーにおけるクーポンをスマートショッピングカートのタブレットに発行・表示する新たな購買体験の提供
日本ハム商圏に合わせたライフスタイルの提案と顧客の好みに合わせたダイレクトマーケティングの実施
フクシマガリレイAI冷蔵ショーケースの設置およびリテールAI技術の外販
ムロオリテールAIを活用したメーカー、小売り、卸の共同配送センターの設置

 なお同社は、2021年前半までにスマートストア業態の店舗を福岡県と佐賀県で60店舗にまで拡大する予定である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トライアルホールディングス
業種流通・小売り
地域千葉市(スーパーセンタートライアル長沼店)
課題顧客のレジ待ち時間の解消や欠品を起こしにくい商品棚をつくりたい
解決の仕組みセルフレジ機能を搭載したショッピングカートを導入し、顧客がレジを通らずに会計できる仕組みを構築。AIカメラで商品棚の欠品情報や人の流れを把握・分析する仕組みを構築し、店舗運営を改善する
推進母体/体制トライアルホールディングス、サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム、フクシマガリレイ、ムロオ(リテールAIプラットフォームプロジェクト「リアイル」の参加社)
活用しているデータ顧客がショッピングカートに入れた商品情報、AIカメラが撮影した商品棚の情報や人の流れの情報など
採用している製品/サービス/技術セルフレジ機能を搭載したショッピングカート、AIカメラ(トライアルの自社開発)
稼働時期2020年7月3日(長沼店の開店日)