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SOMPOケア、介護施設での食事介助に5G使う実証実験で職員の業務負荷軽減を確認

DIGITAL X 編集部
2020年8月11日

介護サービスのSOMPOケアが、介護施設での食事介助に5Gを活用するために2020年2月3日から7日にかけて実施した実証試験の結果を公表した。介護職員の業務負担を軽減できたという。実験に参加したNECが2020年7月17日に発表した。

 SOMPOグループで介護事業を手掛けるSOMPOケアが実施した実証実験は、食事介助業務における負担を軽減するために5G(第5世代移動体通信システム)を利用するもの(図1)。食事介助は、介護業務のなかでも多くの時間が割かれており、職員の負担になっている。実験の結果、介護職員の業務負担の軽減が確認できたという。

図1:介護施設に5G通信エリアを構築した実証試験のイメージ

 実験では、広島市にある介護付き老人ホーム「SOMPOケア ラヴィーレ舟入」に、4.55ギガヘルツおよび4.75ギガヘルツのの5G通信エリアを構築。(1)食堂における入居者の特定、(2)禁食(アレルギー)チェック、(3)食事時の摂取量の記録の3業務をデジタル化した。

 入居の特定には顔認証技術を使った。居室から食堂までの動線にカメラを設置し、食堂へ向かう入居者を顔認証によって特定した。この特定結果を元に、事前に登録したデータベースを照合し、アレルギーや食事制限の有無などを配膳室のディスプレイに表示した。

 食事の摂取量の記録では、食事前後の配膳トレーの画像をAI(人工知能)で解析し食事率を算出し、摂取量を自動で管理できるようにした。

 食事介護のための本実験での課題は、高齢の入居者に意識的にカメラの方向を見てもらうこと。そのため顔認証に向けては、高画質な写真を数多く撮影し伝送する必要があるが、低遅延かつ大容量通信の特徴を持つ5Gを導入することで、最適な写真を逃さず撮影し伝送できたという。

 本実験はSOMPOホールディングスが企画し、SOMPOケアが実証実験環境を提供した。NECが、顔認証ソフトウェア「NeoFaceKAOATO」や、禁食アラートを表示するディスプレイ、5Gの無線装置(4.5GHz帯)を提供した。NTTドコモが、AIによる食事摂取量管理と、5G技術の提供と分析、実験のシステム性能評価およびプロジェクト管理・企画立案を担当した。

 SOMPOホールディングスは今後、実証実験の結果をもとに介護施設への導入検討を進める。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名SOMPOホールディングス、SOMPOケア
業種金融・保険
地域東京都新宿区(本社)
課題介護業務において多くの時間が割かれる食事介助での負担を軽減し、介護職員の業務を効率化したい
解決の仕組み入居者を顔認証技術で特定し、アレルギーなどの情報を自動で検索・表示する。食事の摂取量を、食事前後の配膳トレーの画像認識によって自動で算出し記録する
推進母体/体制SOMPOホールディングス、SOMPOケア、NEC、NTTドコモ
活用しているデータ入居者の顔情報、禁食情報、食事摂取量
採用している製品/サービス/技術5G、顔認証ソフトウェア「NeoFaceKAOATO」(NEC製)、AIおよび食事摂取量システム(NTTドコモ製)
稼働時期2020年2月3日~2月7日(実証試験の期間)