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JR九州、沿線の支障物を営業車両のカメラで検知するシステムを導入

DIGITAL X 編集部
2020年8月13日

九州旅客鉄道(JR九州)が、沿線に支障物があるかないかを営業中の車両に搭載したカメラで自動検知する仕組みを2020年4月から運用している。従来は目視による巡視で確認してきた。システムを設計したNECが2020年7月22日に発表した。

 九州旅客鉄道(JR九州)が運用を始めたのは「列車巡視支援システム」。列車の車両先頭にステレオカメラを設置し、営業走行時に撮影した線路の沿線環境の映像を解析することで支障物を自動で検知する(図1)。営業車に搭載したカメラの撮影画像から支障物を自動検知するシステムの実用化は、国内初という。

図1:列車巡視支援システムの概要

 列車巡視支援システムは、811系近郊型電車の2編成に導入している。支障物を検知すると、その場所の画像を自動で整理し、解析結果のレポートを自動で作成する(図2)。これまでレポートは、職員が目視確認後に作成していた。

図2:車上カメラが撮影した建築物の解析結果イメージ

 画像の解析技術には、鉄道総合技術研究所が開発した線路周辺画像解析エンジンを採用した。同画像解析エンジンをもとに、NECが導入に必要なシステム設計・構築を手掛け、ステレオカメラやGPS、ネットワーク機器のほか、解析サーバーや映像を配信する表示サーバーなどを提供した。

 少子高齢化に伴う労力不足が深刻化するなか、鉄道業界では検査業務の省力化が喫緊の課題になっている。JR九州では今後、列車巡視支援システムを他の車両にも拡張する計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名九州旅客鉄道(JR九州)
業種交通
地域福岡市(本社)
課題職員が目視で行っている沿線の巡視業務を省力化したい
解決の仕組みステレオカメラで撮影した線路周辺の映像を解析し支障物を自動で検知する
推進母体/体制九州旅客鉄道、鉄道総合技術研究所、NEC
活用しているデータ列車に設置したカメラが撮影した線路周辺の映像情報
採用している製品/サービス/技術線路周辺画像解析エンジン(鉄道総合技術研究所が開発)
稼働時期2020年4月