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第一生命保険、営業職へのオンライン研修をAIで実施・評価する仕組みの実証へ

池田 真也(DIGITAL X 編集部)
2020年8月14日

第一生命保険は、営業担当者を対象にしたロールプレイング研修をオンラインで実施するに当たり、AI(人工知能)が使ってシナリオを変更し、結果を評価する仕組みの実証実験を実施する。2021年度の全国導入を目標にする。2020年8月5日に発表した。

 第一生命保険が実験するのは、営業担当者へのロールプレイング研修をセルフサービス型のオンラインで実施するための仕組み(図1)。同社が「生涯設計デザイナー」と呼ぶ営業職の新人を中心に2020年8月から実施し、営業・コンサルティング力の早期修得をうながしたい考えだ。

図1:スマートフォンを使用した研修のイメージ

 オンライン研修は、スマートフォンなどの携帯デバイスから時間や場所を問わずに何度でも受講できる。顧客訪問の合間の時間での受講も想定する。AIとXR(xReality。AR:拡張現実やVR:仮想現実などの総称)技術を使って臨場感を高めると共に、研修結果をAIで評価できるようにするのが特徴だ。

 具体的には、研修用アプリを起動すると、架空の顧客が動画形式で登場する。XR技術により、顧客だけでなく、営業現場の周辺環境を再現しロールプレイングの臨場感を高める。

 画面上の顧客に対し受講者は、保険商品の説明などをしていく。会話の内容をAIが解析し、その結果に応じたシナリオに切り替える。顧客の年齢や性別、家族構成などの属性に応じたパターンを用意する。研修後は、説明内容や話し方を、シナリオが提示したシチュエーションに応じてAIが評価し、総合評価と能力別評価を表示する。

 実験では、受講データをAIに学習させ評価精度を高めながら、さまざまな保険商品に対応した研修コンテンツを追加していく。第一生命保険は、このオンライン研修を2021年度に全国展開する計画で、顧客満足度の向上につなげたい考えだ。

 オンライン研修システムは、アビームコンサルティングが提供する携帯デバイス対応の研修システム「Virtual AI Training Solution」をベースに開発した。アビームコンサルティングは、保険業界での営業人材の育成ノウハウや、言語および表情や立ち居振る舞いなどの分析への知見などから、今回の仕組みの実現を支援した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名第一生命保険
業種金融・保険
地域東京都千代田区(本社)
課題新人の営業担当者へのロールプレイング教育をセルフトレーニング型で実施するに当たり、より効果の高い仕組みで実施し営業の即戦力かを図りたい
解決の仕組みXR技術で臨場感を高めるとともに、AIでロールプレイング研修のシナリオを切り替えたり、実施内容を評価したりする
推進母体/体制第一生命保険、アビームコンサルティング
活用しているデータ会話データ、保険商品の情報など
採用している製品/サービス/技術研修システム「Virtual AI Training Solution」(アビームコンサルティングが提供)
稼働時期2020年8月開始予定(実証実験、本番稼働は2021年度を目標にする)