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クボタ機工、河川ポンプの点検時に内部のサビを検知するAIツールを開発

DIGITAL X 編集部
2020年8月17日

水環境機器の保守・運用を手掛けるクボタ機工が、河川ポンプの点検において、ポンプ内部でのサビの発生をAI(人工知能)で検知するツールを、AIベンチャーのAutomagiと共同で開発した。点検作業の効率化を図る。2020年7月28日に発表した。

 クボタ機工は、上下水道や排水・潅漑に使われるポンプなどの保守・運用を手掛けている。今回、河川ポンプの点検作業においてポンプの内側に発生するサビを検知するAI(人工知能)ツールを開発した(図1)。ポンプの管理・保全作業の効率を高めるとともに、人による判断のばらつきをなくすことで異常検知の精度向上を目指す。AIの網羅的な検知により、検知漏れの削減も期待する。

図1:撮影したポンプ内の映像をサビ検知AIが解析し、腐食の進行度に応じた色を付けて掲示する

 ポンプ点検作業は従来、内部に内視鏡カメラを挿入し、カメラが撮影した映像を点検員が目視で確認していた。新開発したツールでは、内視鏡カメラで撮影したポンプ内部の動画をクラウドに転送し、その映像をAIで解析。腐食の進行度に応じた劣化レベルを表示する。

 これまではポンプ内部の腐蝕や異常の発見に時間がかり、1箇所の点検に、実地での撮影点検、判定、報告書作成までに、2~3人の点検員が1〜2週間ほどかけていた。判定にも一定の時間や技術を必要だった。新ツールでは、より定量的・客観的な診断ができ、判断基準のばらつきをなくせる。

 新ツールは、AIサービスの開発を手掛けるAutomagiと共同で開発した。Automagi独自の技術と深層学習による画像・映像解析技術を併用している。クボタ機工が点検作業で撮影した動画データを元に教師データを作成した。膨大なサビデータを学習させたモデルにより、サビを98%の精度で検知できるという。

 両社は今後、新ツールを運用してデータを追加し、サビ検知AIの精度を高めていく。点検現場で結果をすぐに確認できるようにリアルタイム化を見据えた検証・開発に取り組む。加えて、サビ以外の劣化や異常を検知するモデルも構築しており、順次実装していく計画である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名クボタ機工
業種製造
地域大阪府枚方市(本社)
課題目視によるポンプの点検作業では、ポンプ内の腐蝕や異常を発見するのに時間がかかるほか、判定に技術を要するため判定にばらつきがあった
解決の仕組みポンプ内の動画映像をAIで解析し、腐蝕の進行度に応じた劣化レベルを表現する
推進母体/体制クボタ機工、Automagi
活用しているデータポンプ内部を撮影した映像、過去のポンプ点検作業の映像
採用している製品/サービス/技術画像・映像解析、サビ検知AI技術(Automagiが保有)
稼働時期2020年7月28日(ツールの開発発表日)