• UseCase
  • 医療・健康

東京女子医科大学、遠隔手術支援に5Gを利用する実証実験を10月から

池田 真也(DIGITAL X 編集部)
2020年8月20日

東京女子医科大学は、遠隔手術の支援システムに5G(第5世代移動体通信サービス)を利用する実証実験を2020年10月から始める。専門医がいる遠隔地と治療室を5Gで接続し、手術を遠隔から支援する。2020年7月21日に発表した。

 東京女子医科大学は、脳神経外科手術を対象に、5G(第5世代移動体通信サービス)を利用した遠隔からの手術支援システムの実証実験に取り組む(写真1)。2020年10月から2021年3月までの間に実現の可能性を検証し、医師の不足に伴う医師の負担増大や、地域医療における医師偏在などの課題解決を目指す。

写真1:スマート治療室内での脳外科手術のイメージ

 東京女子医大は学内に、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を使って医療機器や設備を連携させたスマート治療室「SCOT(Smart Cyber Operating Theater)」を持っている。今回、SCOTと遠隔地の専門医が待機する「戦略デスク」を5Gで接続し、高精細な手術映像をリアルタイムで送信する(図1)。専門医が執刀医の手元映像や4K外視鏡映像を元に状況を把握し、遠隔で手術指導や支援をする計画だ。

図1:遠隔手術支援システムの全体像

 さらには、移動型のスマート治療室「モバイルSCOT」を利用した、車載医療機器の高精細なリアルタイム画像伝送の実証実験も計画する。

 データ伝送には、NTTドコモの商用5G回線とクラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」を採用する。両サービスを利用した遠隔医療の実験は国内初としている。医療機器のデータ管理は、手術関連情報基盤を開発するOPExPARKが同社の医療機器データ管理基盤「OPeLiNK」を使い運用する。4K外視鏡にはオリンパス製を採用している。

 東京女子医大とNTTドコモは2019年11月、スマート治療室と5Gを利用した遠隔手術支援の共同実証実験について覚書を締結している。今回の実証実験は、日本医療研究開発機構の採択案件「8K 等高精細映像データ利活用研究事業」の枠組みで実施する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東京女子医科大学
業種医療・健康
地域東京都新宿区
課題医師の不足に伴う医師の負担増大や、地域医療における医師偏在などの医療課題を解決したい
解決の仕組み治療施設と遠隔の専門医を5Gで接続し、高精細かつリアルタイムな手術映像を元に、専門医が手術指導や支援ができる環境を構築する
推進母体/体制東京女子医科大学、NTTドコモ、OPExPARK
活用しているデータ医療機器のデータ、4K外視鏡の撮影映像
採用している製品/サービス/技術IoT、5G回線およびクラウド「ドコモオープンイノベーションクラウド」(NTTドコモ製)、「OPeLiNK」(OPExPARK製)、4K外視鏡(オリンパス製)
稼働時期2020年10月〜2021年3月(実証実験期間)