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化粧品のオルビス、直営店の接客スキル向上で店頭スタッフ専用アプリを活用

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2020年8月24日

化粧品や栄養補助食品などを手掛けるオルビスが、直営店舗での接客スキルを高めることを目的に、社内のみで利用するスマートフォン用アプリケーションを活用している。専門知識を効率良く学習できるという。アプリケーション開発を支援したヤプリが2020年8月18日に発表した。

 オルビスは、ポーラ・オルビスグループで化粧品や栄養補助食品などを開発・販売する企業。全国に約100の直営店舗を持ち、「ビューティーアドバイザー」と呼ぶ店頭スタッフが接客するスタイルを採っている。

 店頭スタッフの接客スキルを高めるために、同社が2020年3月9日から利用しているのが、スタッフ専用のスマートフォン用アプリケーション「ORBIS shirusite(オルビス シルサイト)」だ。本部からの推奨アプリの位置付けながら、これまでに90%以上の店舗の店頭スタッフがダウンロードして利用しているという。

図1:スタッフ専用のスマホアプリ「ORBIS shirusite(オルビス シルサイト)」の画面例

 shirusiteでは、接客に必要な勉強会資料や接客用テキスト、顧客の肌診断のためのマニュアルといったコンテンツを、電子書籍あるいは動画として配布する。本部では、店頭スタッフに見てほしいコンテンツを優先的に配付したり、1人ひとりのログイン情報を管理したりができる。

 同社の直営店舗は「“ここちよさ”を体験できる場」の位置付けで、「お客様にまた行きたいと思っていただける」店舗づくりを目指している。「入店から退店まで顧客の気持ちに寄り添い、シーンに合わせたおもてなしを意識している」といい、それを実現するのが店頭のビューティーアドバーザーの役割になる。

 コロナ禍での店舗は、4月21日から6月8日まで臨時休業とした。この間も、ビデオ会議システム「Zoom」を介してのビューティーアドバイザーによるオンラインカウンセリングや、EC(電子商取引)サイトでのAI(人工知能)によるチャットボットにビューティーアドバイザーによる有人チャットサービスを加えるなど、店頭同様のサービスの維持に努めてきた。

 従来、店舗関係者を集めた商品説明会議を月1回のペースで開いていたが、会議だけでは情報を共有しきれず、店舗に配置したデジタルカタログも十分に活用しきれないという課題があった。

 オルビスの担当者は「店頭でのサービスが増えていくなかで、ビューティーアドバイザーへの教育が行き届かなかった。shirusiteにより、教育面での課題の改善できた。情報が集約でき、かつ気兼ねなく閲覧できる環境ができたことから、店頭スタッフからは「もっと早く使いたかった」などの声が挙がっている」とする。

 shirusiteは、アプリの開発・実行基盤「Yappli(ヤプリ)」(ヤプリ製)の企業向けサービス「Yappli for Company」(旧称Yappi for Business)を使って開発した。

 Yappi for Businessは営業支援用途などに多用されてきたが、最近は社内教育や社内報などへの用途が広がってきたことから2020年8月18日に名称をYappli for Companyに変更した。ノーコードで「iOS」と「Android」用のアプリが開発でき、ユーザーの行動などのデータ分析ができるとしている。

 Yappi for Companyの利用料金は、初期開発費と運用費からなるが要問い合わせ。用途や配布先により異なるとする。ただ運用費用は月額数十万からという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名オルビス
業種製造
地域東京都品川区(本社)
課題直営店の接客レベルを高めCX(顧客体験)を向上させたいが、店頭サービスが増えるなかで、接客スタッフを十分に教育できない
解決の仕組み接客スタッフ専用のスマートフォン用アプリケーションを使い、必要な情報などを手元で確認できるようにする
推進母体/体制オルビス、ヤプリ
活用しているデータ接客のための勉強会資料やテキスト、顧客の肌診断のためのマニュアルなどの電子書籍あるいは動画、接客スタッフのアプリの利用状況など
採用している製品/サービス/技術スマホアプリの開発・実行環境「Yappli for Company」(ヤプリ製)
稼働時期2020年3月9日