• UseCase
  • 交通

沖縄都市モノレールら、県内全域で観光型MaaSの実証事業

DIGITAL X 編集部
2020年8月25日

沖縄県全域で観光型MaaS(Mobility as a Service)の実証事業が2021年1月から始まる。沖縄都市モノレールら民間企業4社と沖縄県の7つの自治体で構成する沖縄MaaS(Mobility as a Service)事業連携体が実施する。観光客がスマートフォンだけで移動や観光ができるようにする考え。事業に参画するTISが2020年8月21日に発表した。

 沖縄MaaS(Mobility as a Service)事業連携体が、沖縄全域での観光型MaaS(Mobility as a Service)の実現を目指した実証事業を2021年1月から実施する。沖縄全域のモノレールとバス、船舶の乗車券と、観光・商業施設の利用券やクーポンを電子化し、シェアリングサービスなど交通分野以外の多様なサービスとも連携することで、観光客がスマートフォンだけでワンストップで移動と観光ができるようにする(図1)。

図1:沖縄全域における観光型MaaS実証事業のイメージ

 交通以外のMaaSアプリやシェアリングサービスなどとの連携は、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)接続およびオープンデータ化によって実現する。実証事業のデータと関係各社が持つデータを組み合わせ、観光・商業施設への送客・誘客による観光客の周遊と分散の実現も目指す。

 実証では併せて、交通渋滞の原因の1つである観光に関する交通課題を観光型MaaSによって解決することを目指す。地域住民の自家用車と旅行客のレンタカー利用が多い沖縄県では、那覇市中心部などで交通渋滞の深刻化が課題になっている。公共交通の利用に振り向けられるように、たとえば、利用者減により維持が困難なバス網に対し、モノレールやシェアサイクルとの連携により利便性を高め収益性を改善するなどを見込む。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、電子決済が推奨される中、スマートフォンを利用してチケットをやり取りするMaaS事業では、事業者、利用者双方の接触機会を低減できるとも期待する。

 今回の「沖縄全域における観光型MaaS実証事業」は、国土交通省の「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」に選定されている。実証主体の沖縄MaaS事業連携体は、代表会社である沖縄都市モノレール、ゼンリン、TIS、琉球銀行の4社と、沖縄県の7つの自治体で構成されている(表1)。

表1:沖縄MaaS事業連携体の構成員と役割
組織名役割
沖縄都市モノレール代表会社として実証事業を取りまとめる
ゼンリンMaaSの新サービスの検証と移動コードのサービス提供
TIS同社のMaaS構築基盤「PAYCIERGE」を利用した基盤構築と実証事業の企画立案
琉球銀行キャッシュレス決済の実現、MaaS加盟事業者開拓
石垣市/浦添市/宮古島市/今帰仁村/伊江村/座間味村/竹富町各自治体の交通施策・観光施策との連携強化のための助言

 実証事業には、沖縄MaaS事業連携体のほかに、2020年8月時点で、交通事業者18社および交通事業者以外の事業者10社が参画する予定だ。沖縄総合事務局運輸部、沖縄県、那覇市がオブザーバー参加し、交通施策や観光施策との連携強化のための助言をする。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名沖縄MaaS事業連携体
業種交通
地域沖縄県
課題観光客の移動や施設利用に伴う手間や那覇市中心部などの交通渋滞を解消することで、県内の観光事業を拡大したい
解決の仕組み民間企業と自治体が連携し、複数の交通手段と観光・商業施設や他のMaaSアプリケーション、シェアリングサービスなど種々のサービスを連携し、スマートフォンだけで移動・利用できるようにする。その一環で、公共交通の利便性および収益性を高め、公共交通の利用率を高める
推進母体/体制沖縄MaaS事業連携体(沖縄都市モノレール、ゼンリン、TIS、琉球銀行、石垣市、浦添市、宮古島市、今帰仁村、伊江村、座間味村、竹富町)
活用しているデータ観光客の移動情報や観光・商業施設の利用情報、公共交通の運行情報など
採用している製品/サービス/技術MaaS基盤構築「PAYCIERGE」(TIS製)、電子決済
稼働時期2021年1月~2021年2月(一部サービスの先行実施や前倒しを検討中)