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栗田工業、水処理設備のIoT対応の加速に向けデジタル技術の開発体制を強化

DIGITAL X 編集部
2020年8月26日

水処理装置・薬品開発の栗田工業が、水処理設備のIoT(Internet of Things:)モノのインターネット)対応を加速するために、デジタル技術を専門にした開発体制を強化する。米子会社のFracta傘下に専門会社を設立し、数年以内に30~40人の開発体制を構築する。2020年8月20日に発表した。

 栗田工業は、自社の水処理装置などのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応に向けたプロジェクト「メタ・アクアプロジェクト」に取り組んでいる。機械学習やシミュレーション技術により、水処理設備の運転管理の効率化/スマート化などを図り、水処理設備の生産性を高め、水処理に関する社会インフラの省コスト化、長寿命化を追求する。

 そのために米AI(人工知能)ベンチャーのFractaと2018年5月に資本・業務提携契約を締結。栗田工業が保有する水処理の技術・ノウハウと、FractaのAI技術・ノウハウを融合させたIoT製品を開発する。2020年3月からは、日本の水道事業体向けにオンライン管路診断ツールの提供を始めている。

 メタ・アクアプロジェクトを加速するために2020年4月、「デジタル戦略本部」を設置し、製品開発を本格化させた。これに続き、水処理領域のデジタル技術を専業とする開発会社Fracta Leapを2020年5月、Fracta傘下に設立した。

 Fracta Leapでは、データサイエンティストやソフトウエアエンジニア、UI(User Interface)/UX(User Experience)のデザイナーの採用を進める。数年以内に30~40人程度の開発体制を構築する計画だ。

 水道管の老朽化に伴う破損や水漏れは、世界的な社会課題になっている。Fractaが開発したAIによる水道管診断技術は、米国の27州で63の水道事業者が採用しているという。日本では2019年から6つの水道事業体で検証を進めており、2020年5月には、愛知県豊田市と全国初となる業務委託契約を締結している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名栗田工業
業種製造
地域東京都中野区(本社)
課題水処理領域のIoT/AI対応を推進し、水処理設備の生産性向上や管理の効率化を図りたい
解決の仕組み米国子会社のFractaと共同でIoT/AI対応製品を開発する「メタ・アクアプロジェクト」を発足。同プロジェクトを加速するためのデジタル専業会社Fracta Leapを設立しデジタル人材を獲得する
推進母体/体制栗田工業、米Fracta
活用しているデータ水道管の水漏れ、水道設備の運転状況など
採用している製品/サービス/技術IoT、AI、機械学習
稼働時期2020年5月(Fracta Leap社の設立時期)