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福島県飯舘村、路線バスを補完する小型EVによるラストワンマイルを実証実験

DIGITAL X 編集部
2020年9月4日

福島県相馬郡飯舘村は、公道を時速20キロメートル未満で走る小型EV(電気自動車)を使った公共交通の実証実験を民間企業3社と共同で2020年8月26日に開始した。路線バスを補完する地域内のラストワンマイルを支える公共交通を提供したい考え。運行支援のためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を提供するパイオニアが2020年8月25日に発表した。

 福島県相馬郡の飯舘村が2020年8月26日に開始したのは、時速20キロメートル未満で公道を走る電動で4人乗り以上の公共交通「グリーンスローモビリティ」の実証実験。路線バスを補完する地域内のラストワンマイルの“足”を提供し公共交通を使って生活できる地域作りを目指す。飯舘村の環境を守ることも期待する。

 中山間地域でのラストワンマイル交通事業の持続性を確保するため、将来的にはNPO(非営利団体)や社会福祉協議会が選定した高齢者を含む地元住民が運転士の役割を担うことを想定している。その際の運行の安全性を遠隔運行支援システムにより担保したい考えだ。

 そのため実証実験では、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を利用した遠隔運行支援システムを使って車両を運行する(図1)。車両内外の映像を福島交通の運行センターに送信し、運行状況を遠隔から把握する(図2)。

図1:IoT技術などを用いた遠隔運行支援体制の全体像
図2:路線バスの車内外の映像を運行センターに送信し、運行状態を遠隔で把握する

 加えて、幅広い年齢層が利用できるように、インターネットだけでなく、電話も使える予約システムも検証する(図3)。

図3:路線バス予約システムの全体像

 実験に当たり飯舘村は、福島交通、みちのりホールディングス、ジョルダンと地域コンソーシアムを形成。環境省による2019年度の「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を活用したグリーンスローモビリティの効果的導入実証事業」として実施する。

 遠隔運行支援システムには、ジョルダンの通信技術や、パイオニアの音声通話システム「Any-on」、パイオニアスマートセンシングイノベーションズの測位技術を利用している。予約システムには、ジョルダンと富士通、パイオニアが持つ技術を採用した。

 今後は、飯舘村での実証実験で得た知見を生かしてグリーンスローモビリティの継続的な運用可能性を検証し、他地域への提供も目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名福島県飯舘村
業種公共
地域福島県相馬郡飯舘村
課題中山間地域において公共交通で生活できる地域を作り、舘村の環境も守る
解決の仕組み路線バスを補完するグリーンスローモビリティでラスワンマイルまでの公共交通を整備する。地元住民が運転士の役割を担えるよう運行状況を遠隔から監視・支援する
推進母体/体制福島県飯舘村、福島交通、みちのりホールディングス、ジョルダン、パイオニア、パイオニアスマートセンシングイノベーション(PSSI)、富士通
活用しているデータ車両の位置情報、カメラによる車両の運転状況に関する情報、運転手と運行管理者の会話、車両の予約情報など
採用している製品/サービス/技術通信技術(ジョルダン製)、音声通話システム「Any-on」(パイオニア製)、測位技術(PSSI製)
稼働時期2020年8月26日(実証実験開始日)