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トヨタシステムズ、自動車部品の物流ルートの最適化に量子コンピューティングを使う実証を実施

DIGITAL X 編集部
2020年9月24日

トヨタグループのITサービス会社のトヨタシステムズは、自動車の製造に必要な部品の物流ネットワークを最適化するために量子コンピューティング技術を適用する実証を実施した。結果、従来見つけられなかった有効な物流ルートが発見でき、物流コストを約2~5%削減できることを確認した。2020年9月10日に発表した。

 トヨタシステムズが取り組んだのは、自動車製造に必要な部品の物流ネットワークを最適化するにあたり、量子コンピューターを適用することの実証実験。トラック数や総走行距離、仕分け作業などを含め、物流コストが小さくなるルートを量子コンピューティング技術で算出した。新たな物流ルートで試算した結果、約2~5%の物流コスト削減が見込めるという。

図1:300万以上の候補から最適なルートを算出する

 部品の仕入れ先から組み立て工場へ配送するまでの候補ルートは300万を超える。実証では、これら候補から、全体の物流コストが削減できる新たなルートを30分以内で計算できることを確認した。物流コストは、トラック数、総走行距離、荷物仕分けの作業量から算出している。従来の手法では、問題規模が大きくなると物流ルートの計算時間が膨大となり、手作業による調整が必要だった。

 量子コンピューティング技術には、組み合わせ最適化問題に適した「デジタルアニーラ」(富士通製)を採用した。富士通は、量子コンピューティングを実際の物流業務に適用するにあたり、富士通研究所が開発した「大規模問題求解技術」のほか、「大域的探索技術」と「動的多点探索技術」を組み込んだシステムを開発した(図2)。

図2:「デジタルアニーラ」に組み込んだ新たな技術

 トヨタシステムズは今後、今回蓄積した技術をもとに自動車業界における量子コンピューティングの利用を推進し、新しいモビリティサービスの創出や社会的課題の解決を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタシステムズ
業種サービス
地域名古屋市(本社)
課題自動車部品のサプライチェーンの効率化とコスト削減を図りたい
解決の仕組み組み合わせ最適化問題を高速に解く量子コンピューティング技術を利用し、短時間で物流コストを最適化するルートを算出する
推進母体/体制トヨタシステムズ、富士通、富士通研究所
活用しているデータ自動車製造部品の配送ルート、トラック数、総走行距離、荷物仕分けの作業量
採用している製品/サービス/技術量子コンピューティング技術「デジタルアニーラ」(富士通製)