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中部電力、変電所の遠隔監視や現場の作業支援に向けて5Gを実地検証

DIGITAL X 編集部
2020年10月6日

中部電力は、変電所における現場業務の効率化とレジリエンスの強化を目的に、5G(第5世代移動体通信サービス)の実証実験をKDDIと共同で2020年10月1日に開始した。実用化を視野に、5Gの通信性能のほか、遠隔での巡視や監視、作業支援への有効性を検証する。2020年9月28日に発表した。

 中部電力が5G(第5世代移動体通信サービス)を実地検証するのは、名古屋市の中部電力パワーグリッドの大高変電所と、中部電力の研究所2拠点(図1)。変電所の施設内における5Gの通信性能と、遠隔からの現場の巡視・監視、現場作業の支援への有効性を、2020年10月1日から2021年1月21日にかけて検証する。

図1:中部電力が取り組む5G環境の検証イメージ

 具体的な検証内容は、(1)遠隔からの巡視ロボットの運転操作、(2)高精細カメラやスマートグラスなどを用いた遠隔監視・作業支援、(3)MEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)を活用したAI(人工知能)分析、である。

 遠隔のロボットの運用では、中部電力と三菱電機が共同で開発中のロボットを使い、リアルタイム性が要求される遠隔からの運転操作の有用性を検証する。

 遠隔監視では、5Gの高速・大容量性能を使って、変電所の確認箇所を高精細カメラで撮影し監視する。作業支援では、現場作業者が装着したスマートグラスの視界を遠隔にいる作業指示者が共有し、作業指示をスマートグラスの画面上にリアルタイムに表示する。

 MECは、通信端末近くに設置するサーバーで、通信時間の短縮を図る。検証では、カメラからのストリーム映像をMEC上でAIによる解析を実行し、不審者の侵入監視や設備異常の早期検知、作業員の安全確認に役立てる。

 電力業界では、現場業務の安全確保や効率化に加え、災害発生時の迅速な復旧が課題になっている。中部電力は、今回の検証によって電力業界の課題解決に生かしたい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名中部電力
業種公共
地域名古屋市(中部電力パワーグリッドの大高変電所、中部電力の研究所)
課題現場業務のさらなる安全確保と効率化を推進するとともに、災害発生時には設備を迅速に復旧させたい
解決の仕組み巡視ロボットの導入やスマートグラスを用いた遠隔作業支援、映像分析技術などを活用するために、高速・大容量の通信インフラである5Gを利用する
推進母体/体制中部電力、中部電力パワーグリッド、中部電力研究所、三菱電機、KDDI
活用しているデータ巡視ロボットの運転に関する情報、高精細カメラおよびスマートグラスが撮影する映像など
採用している製品/サービス/技術5G、巡視ロボット、高精細カメラ、スマートグラス、映像分析AI技術
稼働時期2020年10月1日から2021年1月21日(実証実験の期間)