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警察庁、指名手配被疑者の“今の姿”をAIで予測するプロジェクトを開始

DIGITAL X 編集部
2020年10月9日
AIで予測した“今の姿”を公開する「TEHAI(てはい)」の特設サイト

警察庁は、指名手配被疑者の過去の写真から現在の姿をAI(人工知能)技術を使って予測するプロジェクトを2020年9月30日に開始した。AIが生成した写真を使って情報提供の促進を図り、指名手配被疑者の検挙の可能性を高めたい考え。プロジェクトに参画するヤフーなど3社が同日に発表した。

 警察庁が取り組む「TEHAI(てはい)」は、指名手配被疑者の過去の写真から“今の姿”を予測するプロジェクト。AI(人工知能)技術を使った画像解析・生成技術により、指名手配被疑者の姿を予測したイメージ画像を生成する。

 2020年11月1日からの指名手配被疑者捜査強化月間に先立ち、特設サイトを開設した。情報提供を呼び掛け、検挙の可能性を高める。特設サイトでは今回、指名手配被疑者5名の予測イメージを公開している。指名手配被疑者の画像をクリックすると、警察庁のフォームに移動して目撃情報などを通報できる(図1)。TEHAI自体は、2020年9月30日から12月31日まで実施する。

図1:TEHAIの特設サイトから情報提供ができる

 警察庁 刑事局刑事企画課長の重松 弘教 氏は、「全国の指名手配被疑者は、2020年8月末日現在、約630人で、全体の3割弱が手配から10年以上経過している。これまで、警察庁および各都道府県警察のホームページやポスターなどで情報提供を呼び掛けてきたが、手配写真が古く、より効果的な広報活動の在り方について検討していた。AI 技術を用いて被疑者の現在の姿を予測するシステムの提案を得、国民の皆様から情報を広く提供していただくことで、一日でも早く被疑者を検挙できればと期待している」と話す。

 全国約630名のうち、警察庁指定重要指名手配被疑者は12名。なかには手配から20年以上経過している被疑者もいるという。

 TEHAIでは、AI技術を使って大量の顔写真データからシワの入り具合や皮膚のたるみかたなど、加齢に応じた特徴を抽出し、過去に撮影された被疑者の顔写真に、その特徴を適用することで現在の姿を予測する。

 イメージ画像の生成には、加齢変化を得意とするAIや、老化前後のペア画像から特徴を抽出して変換するAIなど、複数のAIを組み合わせている。予測の幅を設け、被疑者1名につき9つのパターンを公開している。

 いずれのAIも、数万枚の顔写真のデータセットから数万回の学習を実施し、検証を重ねた。AIによる老化加工の正確性を検証するため、実在する人物の写真を使って、過去の写真と予測によって生成した写真を比較してもいる。

 AI技術の開発や特設サイトの開設は、ヤフー、電通デジタル、パーティーが担当している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名警察庁
業種公共
地域東京都千代田区
課題指名手配被疑者の情報提供を呼びかける手配写真が古く、より効果的な広報活動を検討していた
解決の仕組みAI技術を使って過去の指名手配被疑者の写真から今の姿を予測することで古い写真との印象の違いを埋め関連情報を得やすくする
推進母体/体制警察庁、ヤフー、電通デジタル、パーティー
活用しているデータ被疑者の顔写真
採用している製品/サービス/技術AI技術
稼働時期2020年9月30日から12月31日(プロジェクトの実施期間)