• UseCase
  • 公共

香川県三豊市、離島地域のインフラ課題を電動カートやドローンなどで解決する実証調査を開始

DIGITAL X 編集部
2020年10月16日

香川県三豊市などは市内の粟島において、離島地域の課題解決に電動カートやドローンなど使う実証調査を2020年10月2日に開始した。公共交通手段がない島内に持続可能なインフラを確立し、地域の活性化を目指す。同日に発表した。

 香川県三豊市らが始めたのは、離島の課題解決を図る実証調査、「粟島スマートアイランド推進プロジェクト」。島民が豊かに暮らせる環境を支える持続可能なインフラを確立し、地域の活性化を目指す。三豊市が代表を務め12団体で構成される三豊市スマートアイランド協議会として実施する。

 粟島は瀬戸内海に浮かぶ島。島内には公共交通手段がなく、自家用車を所有しない島民にとっては、島の中心地や診療所への移動に不便が生じていた。そうした離島の課題をデジタル技術を使って解決する。

 課題領域としては、移動、物流、医療の3つの観点を挙げる。移動の領域では、電動カートを使ったGSM(グリーン・スロー・モビリティ)を実証運行させる(図1)。

図1:電動カートを使ったGSM(グリーン・スロー・モビリティ)を実証運行させる

 島内中心地や診療所、集落などに停留所を設定し、粟島における移動手段を確立する。車載タブレットと連動するクラウド型予約・運行管理システムを導入し、カートの管理工数を軽減するとともに、走行データや利用者の移動データを収集・分析する。

 物流の領域では、医薬品や食品などをドローンを使って運ぶ無人物流輸送の実証を進める。目視外飛行に必要な気象ライブソリューションによる自然災害時の情報提供も視野に入れ、離島に適した通信インフラを検証する。

 医療の領域では、服薬を含めた遠隔医療システムを構築し、島民および来訪者を含む医療体制の確立を目指す(図2)。

図2:三豊市が取り組む遠隔医療のイメージ(メロディ・インターナショナル資料より)

 具体的には、粟島の診療所に医師が不在の場合は、オンライン診療システムを利用して粟島診療所と病院をつなぎ、遠隔で診療する。モバイル心電計や家庭用血圧計などのIoT(モノのインターネット)対応の医療機器を使い、患者のバイタルデータに基づくリアルタイムでの診断を可能にする。IoT対応医療機器や処方薬の配送にドローンを使う取り組みも進める。

 粟島スマートアイランド推進プロジェクトは、国土交通省が推進する「令和2年度スマートアイランド推進実証調査業務」を実行するためのもの。三豊市粟島スマートアイランド推進協議会には、三豊市ほか、ICT、医療、交通などの分野から12団体が参画している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名香川県三豊市
業種公共
地域香川県三豊市粟島
課題瀬戸内海に浮かぶ粟島には公共交通手段がなく、島民が島の中心地や診療所へ移動するのに不便な環境になっている
解決の仕組み移動、物流、医療の観点から持続可能なインフラを確立できるよう、ドローンや遠隔医療システムなどを利用する
推進母体/体制三豊市粟島スマートアイランド推進協議会(三豊市、穴吹エンタープライズ、三井物産オートモーティブ、電脳交通、ユビ電、かもめや、メロディ・インターナショナル、香川大学 瀬戸内圏研究センター、香川県医師会、香川県済生会 離島医療福祉研究会、香川大学 法学部 肥塚研究室、あいおいニッセイ同和損害保険)
活用しているデータGSM(グリーン・スロー・モビリティ)の走行データおよび利用者の移動データ、患者のバイタルデータなど
採用している製品/サービス/技術GSM、遠隔医療システム、IoT医療機器、ドローン
稼働時期2020年10月2日(実証調査の開始時期)