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三菱食品、売掛金の照合作業をAIで効率化

DIGITAL X 編集部
2020年11月13日

三菱食品は、売掛照合業務の効率化を図るのを目的にAI(人工知能)の試験運用を2020年11月16日から開始する。手作業だった照合作業を自動化し、作業時間や人的ミスの削減を図る。2020年10月29日に発表した。

 三菱食品が導入するのは、自社請求と得意先からの支払いに関する電子データを照合する売掛照合業務を自動化する「売掛照合AI」(図1)。過去の照合実績データをAI(人工知能)に学習させ、得意先ごとの明細照合ルールを抽出して自動的に処理する。1カ月に1000時間以上かかっていた手作業による照合時間を、数百時間削減できると見込んでいる。試験運用を経て、2021年4月の本格稼働を目指す。

図1:売掛照合AIによる照合のイメージ

 売掛照合AIは、得意先ごとの照合ルールといった財務経理の担当者が持つ暗黙知を抽出し、売掛の電子データを照合する。AIがどのような照合ルールで明細照合したかによって照合正解確度を設定する。確度の高い組み合わせは自動で消込み処理し、確度の低い組み合わせは担当者が確認してから消込むことで、正確性と高速性の両立を図る。

 売掛照合AIのAIモデルには、複数の小さなAIモデルとロジックを組み合わせたハイブリッドモデルを採用する。照合に至るまでの過程の説明性の担保や、精度が下がった場合に、どこに問題があるのかといった原因調査が容易になるとしている。

 売掛照合AIの開発に向けて三菱食品は、富士通と2019年2月から「買掛照合AI」の共同開発を進めていた。2020年6月から本番稼働しており、月に2000時間以上かかっていた売買照合における手作業時間のうち数百時間を削減している。売掛照合AIは同技術を応用して開発した。両社は今後、資金収支業務や入金チェック業務へのAI適用にも取り組む。

 食品業界は多数の取引先と膨大な数のデータのやりとりが必要だ。だが取引データは取引先ごとに異なり標準化されていない。手作業の照合による人手不足や人為ミスの解消が課題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三菱食品、富士通
業種製造
地域東京都文京区(本社)
課題財務経理業務職員が手作業で行っている売掛照合業務の効率を高めたい
解決の仕組み得意先ごとの照合ルールを学習して自動的に照合するAIを開発する
推進母体/体制三菱食品、富士通
活用しているデータ得意先からの支払い電子データおよび自社の請求電子データ
採用している製品/サービス/技術売掛照合AI、売買照合AI
稼働時期2020年11月16日(試験運用の開始時期)