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長野県の大鹿村、高齢者の見守りにAIやセンサーを利用する実証実験

DIGITAL X 編集部
2020年11月19日

長野県下伊那郡大鹿村が、高齢者を遠隔から見守るためにAI(人工知能)やセンサーを利用する実証実験を2020年10月15日から実施している。高齢者世帯の増加に伴い課題になっている見守りに有効な仕組みを検証する。2020年11月5日に発表した。

 大鹿村が取り組むのは、遠隔での高齢者の見守りにAI(人工知能)やセンサーを利用する実証実験(図1)。2018年度に整備したケーブルテレビ加入世帯への光回線網を使って高齢者の見守りに有効な仕組みを検証し、村民を対象にした見守りサービスの品質向上や、安心して暮らせる環境の構築を目指す。検証は、2020年10月15日から12月15日まで実施する。

図1:高齢者の遠隔見守りにAIやセンサーを使う実証実験の全体像

 実験では、空間センサーと睡眠センサーを高齢者宅に設置し、居室の温湿度や高齢者のベッドでの動きや心拍などを把握する(図2)。センサーが収集したデータをAI技術で分析し、異常を感知するとアラートを通知し早期対応につなげる。日々の見守りデータや異常状態の情報は、大鹿村の役場の担当者や高齢者の家族が遠隔から確認できる。ナースコールも設置する。

図2:実証実験の対象者宅に設置するセンサー類

 画面つきスマートスピーカーを使った見守りサービスも実験する。高齢者宅にスマートスピーカーを設置し、日々の生活状況の確認や、大鹿村からのお知らせ、家族からのメッセージや写真を送信し、見守りサービスおよび住民の暮らしやすさ・安心度の向上を目指す。

 実験に参加する高齢者宅に設置するセンサーや管理アプリは、インフィックが提供する。通信環境の整備や実験機器の交換などには飯田ケーブルテレビが対応する。スマートスピーカーを使った見守り機能は日本郵便が、プロジェクト全体のマネジメントと実施内容の分析・評価はNTT東日本が担当する。

 大鹿村は、高齢化率が49.0%と長野県で4番目に高く、平均年齢は全国平均を10歳以上上回っている。若年者は村外に出て生活しているため高齢者のみの世帯が増加し、見守りの対応が課題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名長野県下伊那郡大鹿村
業種公共
地域長野県下伊那郡大鹿村
課題高齢者世帯が増加するなかで、高齢者を見守り異常時には早期に対応できるなど安心して暮らせる村にしたい
解決の仕組み高齢者宅にセンサーやスマートスピーカーを設置し、遠隔で高齢者の生活状況を確認するとともに、異常を感知した際にアラートを発信する仕組みを構築する
推進母体/体制長野県下伊那郡大鹿村、飯田ケーブルテレビ、インフィック、日本郵便、NTT東日本
活用しているデータ高齢者の動きや心拍、居室の温湿度など
採用している製品/サービス/技術空間センサー「LASHIC-room」/睡眠センサー「LASHIC-sleep」/ナースコール「LASHIC-call」(いずれもインフィック製)、AI(人工知能)、スマートスピーカー(日本郵便が提供)
稼働時期2020年10月15日~12月15日(実証実験の期間)