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山梨市、高齢者の見守りに自営のLPWA網とセンサーを活用へ

DIGITAL X 編集部
2020年12月1日

山梨市は、高齢者の安否確認や見守りに、自営のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークとセンサーを使う仕組みを構築する。農業IoT(Internet of Things:モノのインターネット)や防災などに実施してきた地域版スマートシティの取り組みを発展させる考えだ。ネットワークを構築するNTT東日本が2020年11月16日に発表した。

 山梨市は、福祉分野におけるデジタル技術の活用を2020年12月から開始する。高齢者の日常生活の見守りと、災害時の安否確認を可能にする(図1)。

図1:自営無線ネットワークを使った福祉分野の取り組み

 高齢者の見守りでは、高齢者にセンサーを身に着けてもらい、自宅や公民館を出入りしたことを家族にメールで通知する。センサーには靴に内蔵するタイプのもの(ニフコ製)を採用する。高齢者宅には、温度や照度、ドアの開閉などを検知するセンサーを設置して屋内の状況を可視化し、異常を検知すると家族に通知する仕組みも構築する。

 災害時には、高齢者が避難できたかどうかを避難所への出入りを検知することで、避難状況を確認するとともに、どの避難所にいるのかを把握する。ここではキーホルダー型センサーを利用する。

 高齢者が使うセンサーには、照明や圧力、振動などのエネルギーを電力に変換する電源レスタイプのものを採用し、電池切れによる検知漏れのリスクを回避している。

 これらセンサーデータの送受信には、山梨市が2017年2月からNTT東日本と共に構築してきた自営の無線ネットワークを利用する(図2)。LPWA(Low Power Wide Area)規格に沿うもので、基地局を市内5カ所に整備している。これまでは、市の特産品の1つであるシャインの圃場における環境センシングや盗難対策のためと、市内における防災対策のためのネットワークとして活用してきた。

図2:自営無線ネットワークを使った山梨市の取り組み

 山梨市は今後、見守りシステムの有効性を検証し、規模の拡大や本格実装に向けた検討を進めていく。なお2020年12月からは防災のために取得してきた水位データをオープンデータ化しホームページで公開する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名山梨市
業種公共
地域山梨市
課題高齢者の安否確認や災害時の避難状況などを見守る仕組みを構築したい
解決の仕組み既存の自営LPWA網を活用し、高齢者や高齢者宅に設置したセンサーデータを収集し、高齢者の状況確認や異常を検知する
推進母体/体制山梨市、NTT東日本、ニフコ
活用しているデータ高齢者の位置情報、自宅の温度や照度など高齢者宅の環境情報、ドアの開閉状況など高齢者宅の状況に関する情報など
採用している製品/サービス/技術靴への内蔵型やキーホルダー型などのセンサー(ニフコ製)、自営のLPWAネットワーク(NTT東日本が構築)
稼働時期2017年2月(LPWA網の構築時期)、2020年12月(福祉分野の取り組みの開始時期)