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秋田県総合食品センター、日本酒の醸造工程にIoTを導入し商品開発につなげる研究を開始

DIGITAL X 編集部
2020年12月1日

秋田県の食品産業支援機関である秋田県総合食品センターは、日本酒の生産性向上や市場ニーズに合った商品開発に向けて、醸造工程にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)カメラやセンサーなどを利用する研究を開始した。県内酒造産業の活性化を目指す。センサー機器を提供するNTT東日本 秋田支店が2020年11月16日に発表した。

 秋田県総合食品センターは県内の食品産業を支援するための試験・研究機関。秋田県工業試験場醸造部をルーツに持つ。今回、日本酒の生産性向上や軽労化、市場ニーズに応じた商品開発を促進するために、日本酒の醸造工程にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)カメラやセンサーを使う研究を始めた(図1)。日本酒の新たな販路を拡大し県内酒造産業の活性化を目指す。

図1:日本酒の醸造工程をスマート化するための研究のイメージ

 今回の研究では、日本酒を醸造するタンク内に温度センサーとCO2センサー、IoTカメラを設置し、2つの調査に取り組む。

 1つは、酒母やもろみなどの材料をかきまぜる「櫂入れ」と呼ばれる作業の頻度と、もろみの温度変化のムラの相関および酒質への影響の調査。重労働である櫂入れ作業の負荷軽減が目的だ。

 調査では、櫂入れの頻度を複数のパターンに分け、パターンごとに、もろみの温度変化のムラを温度センサーで測定し、もろみの流動状態を計測する。CO2センサーとIoTカメラでは、CO2濃度と、もろみの表面画像を取得する。さまざまな条件で製造された日本酒を分析し、味を構成する要素への影響を調査する。

 もう1つは、醸造用水量の増減と日本酒の味を構成する要素との相関の調査。市場ニーズに応じた商品開発に向け、香味特性に優れた日本酒の製造方法を検討する。総米重量に対する汲水の歩合を複数のパターンに分け、日本酒の味を構成する要素との相関関係を調査する。

 秋田県とNTT東日本は2017年9月に多分野連携協定を締結している。本研究では、連携事項の1つである「地域社会の活性化及び県民サービスの向上」の一環で、日本酒を中心とした秋田県の県産品の出荷額向上を目指す。

 研究は、NTT東日本の秋田支店と共同で、2020年11月中旬から2021年3月末まで実施する予定だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名秋田県総合食品センター
業種公共
地域秋田市(秋田県総合食品センター)
課題日本酒製造の生産性向上と市場ニーズに応じた商品開発を促進したい
解決の仕組み温度センサーやCO2センサー、IoTカメラを使って櫂入れ作業および醸造用水量と日本酒の質・味の相関関係を調査する
推進母体/体制秋田県総合食品センター、NTT東日本 秋田支店
活用しているデータ醸造タンク内のもろみの温度変化のムラやCO₂濃度、もろみ表面の画像
採用している製品/サービス/技術温度センサー、CO2センサー、IoTカメラ
稼働時期2020年11月中旬~2021年3月末(共同研究の実施期間)