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日本製鉄、製鉄所設備のオンライン監視にAI機能持つ基盤を構築

DIGITAL X 編集部
2020年12月23日

日本製鉄は、製鉄所の設備状態をオンラインで監視するための基盤を構築し、2021年1月から長期間の運用テストを開始する。AI(人工知能)による分析機能を採り入れ、設備の異常をリアルタイムで検知する。2020年12月3日に発表した。

日本製鉄が構築するのは、製鉄所における設備の稼働停止や設備不良による製品劣化を防ぐための、オンライン監視基盤となる「NS-DIG」(図1)。AI(人工知能)分析ソフトウェアを使って、圧延工場の製造設備の稼働・品質状態を監視する。

図1:日本製鉄が構築する設備状況のオンライン監視基盤の概要

 千葉県にある東日本製鉄所君津地区で2021年1月から、設備の異常予兆をリアルタイムで検知する長期間の運用テストを開始する。

 監視のためのデータを取得するために君津地区の圧延工場には、製造工程各所に500点の物理センサーを設置した。物理センサーから収集したデータを含む2000以上の計測項目データ(電流・温度・圧力・制御信号など)を元に、AIが設備や装置の振る舞いを学習しモデル化する。リアルタイムでの監視によりトラブルを未然に防ぎ、設備の点検と稼働監視の効率化を図りたい考え。

 2021年1月からの長期間運用テストに先だち、原因究明に10日間を要した解決難易度が高いトラブルに対し、オフラインデータを用いた検証を実施。AIによるデータ分析によって、トラブルの予兆を事前に検知できることを確認したという。

 NS-DIGに採用したAI分析ソフトウェアは、「NEC Advanced Analytics - インバリアント分析」(NEC製)。100ミリ秒単位で取得するリアルタイムの計測データから、「いつもと違う」異常の予兆を自動検知できるという。定常時の状態を学習することで、未知のトラブルも発見できるとする。

 鉄鋼製造プロセスにおける異常判定に必要なレスポンスのほか、判定に用いるデータの前処理のカスタマイズが可能で、今後の設備展開を視野に、その汎用性や、分析・評価作業の容易さ、検知精度の高さを評価し採用を決めたという。

 日本製鉄はNS-DIGを整備し、AI/IoT(Internet of Things:モノのインターネット)による予防保全を推進している。NECのAI分析ソフトウェアの採用はその一環。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本製鉄
業種製造
地域千葉県君津市(東日本製鉄所君津地区)
課題製鉄所の設備トラブルによる稼働停止や設備不良による製品の劣化を防ぎたい
解決の仕組み設備から収集したセンサーデータなどをAIで分析し、製造設備のトラブル予兆を自動で検知する
推進母体/体制日本製鉄、NEC
活用しているデータ製鉄所の製造工程各所に設置した物理センサーから収集したデータを含む2000以上の計測項目データ(電流・温度・圧力・制御信号など)
採用している製品/サービス/技術AI分析ソフトウェア「NEC Advanced Analytics – インバリアント分析」(NEC製)
稼働時期2021年1月(運用テストの開始時期)