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トヨタのGR Garage、点検・整備業務へのMR活用を全国展開

DIGITAL X 編集部
2021年1月8日

トヨタ自動車は、「GR(Gazoo Racing)」ブランドのスポーツカーを扱う「GR Garage」での点検・整備業務において、MR(Mixed Reality:複合現実)デバイス「HoloLens2」を全国展開する。2020年10月から順次導入している。HoloLens2を提供する日本マイクロソフトが2020年12月22日に発表した。

 トヨタ自動車の「GR Garage」は、「GR(Gazoo Racing)」ブランドのスポーツカーを扱う店舗。サーキット走行などの研修を受けた「GRコンサルタント」を置いている。

 今回、GR Garageでの点検・整備業務において、MR(Mixed Reality:複合現実)デバイスの「HoloLens2」を全国の57店舗に展開することを決めた。2020年10月にネッツトヨタ富山GR Garage富山新庄から利用を始めている(図1)。

図1:「HoloLens2」を装着して点検・整備作業に当たる整備士の様子

 GR Garage富山新庄では、部品やコネクタの配置などを3D(3次元)映像で実車に重ね合わせて表示する「MRを用いた配線図・艤装図」を点検業務および整備士の作業トレーニングに活用している(図2)。従来の平面図しかないマニュアルではわかりづらかった部品の位置などを正確かつ効率よく把握できるようになったという。

図2:「MRを用いた配線図・艤装図」では部品やコネクタの配置などを3D表示する

 点検時に発生する調べものの作業効率も向上した。紙のマニュアルやノートPCに保存しているマニュアルでは、利用時にオイルなどで汚れた手を洗う必要があった。HoloLens2では、空間をタッチする操作でマニュアルを見られるため効率が高まった(図3)。点検に要する作業時間を20~30%短縮できると期待する。

図3:HoloLens2は空間をタッチしてマニュアルを見ることができる

 さらに同店では、点検・整備に加え、来訪者に新型車の機能を説明するためのツールとしてもHoloLens2を利用する。HoloLens2を装着した顧客に実車の前に立ってもらい、複雑な機能や通常は目に見えない空力特性などを3D画像で車体に重ね合わせて説明する(図4)。「もっとクルマのことを知りたい」という顧客ニーズに応えられるとしている。

図4:HoloLens2を活用すると空力の様子を見ることもできる

 GR Garage富山新庄の整備士は、他店舗へのHoloLens2の研修にも出向いている。他店舗の整備士からは「やってみたい」「映画の世界みたいだ」といった声が上がるという。HoloLens2を使うことで整備士の仕事に興味を抱くきっかけになるとして、整備士のリクルート活動における効果も期待する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ自動車
業種製造
地域愛知県豊田市(本社)
課題自動車の点検・整備作業を効率化したい
解決の仕組みMixed Reality(MR)技術を使って、部品やコネクタなどの配置を実車に重ね合わせたり、空間にマニュアルを表示したりする
推進母体/体制トヨタ自動車、日本マイクロソフト
活用しているデータ自動車の部品やコネクタの配線図や整備マニュアルなど
採用している製品/サービス/技術HoloLens2(米Microsoft製)
稼働時期2020年10月(GR Garage富山新庄への導入時期)