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千葉大付属病院、複数施設の臨床研究データの相互分析に秘密計算技術を適用する研究をNTT Comと共同で
千葉大学医学部附属病院は、複数施設で得られる臨床研究データを非公開にしながら相互に分析できる環境の構築に向けた研究をNTTコミュニケーションズ(NTT Com)と共同で開始した。秘密計算技術を適用する。2021年2月8日に発表した。
千葉大学医学部附属病院は現在、「多施設共同研究」の仕組み作りに取り組んでいる。単一施設では症例数が限定される希少疾患の研究において、診療情報を含む臨床研究データを他施設には非公開にしながら複数施設が参加可能にするのが目的だ。
今回、その仕組みに秘密計算技術を適用し、複数施設で収集した臨床研究データを秘匿状態で相互に分析できるかどうかを検証するために、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と「秘密計算システム、秘密計算ディープラーニングに関する共同研究協定書」を2021年2月1日に締結した。複数の診療科で進めている臨床研究を対象に、NTT Comが開発をした秘密計算システムおよび秘密計算ディープラーニングを利用する共同実験を実施する(図1)。
秘密計算システムとは、データを秘匿化したまま分析し結果のみを出力する技術。元データを単独では意味のない複数の断片データに変換し、複数の秘密計算サーバーに保存する。各サーバーは互いに通信・協調し、断片データを復元することなく統計処理などの計算を実行する。これにより元データおよび計算の途中経過の参照を不可能にしながら分析結果のみを利用可能にする(図2)。
実験では、秘密計算ディープラーニングを用いることで、複数施設の臨床研究データを秘匿した状態のままでAI(人工知能)モデルを作成できるようにする。これにより従来手法では時間を要していた疾患の診断時間の短縮を目指す(図3)。
さらに、患者に処方する薬剤の選定を補助するAIモデルの作成にも取り組む。患者の状態に応じた最適な薬剤を処方することで症状の進行を抑える研究につなげる。
千葉大付属病院では実験結果を踏まえ、各診療科において複数の臨床研究データを用いる臨床研究に必要な横断研究や縦断研究に取り組む可能性を広げたい考えだ。
企業/組織名 | 千葉大学医学部附属病院 |
業種 | 医療・健康 |
地域 | 千葉市 |
課題 | 単一施設では症例数が限定される希少疾患の研究において、診療情報を含む臨床研究データを他施設に非公開にしながら複数の施設が参加できる環境を構築し、横断研究や縦断研究に取り組みたい |
解決の仕組み | 秘密計算システムを用いて臨床研究データを他施設には非公開にしながら複数施設が研究に利用できるようにする |
推進母体/体制 | 千葉大学医学部附属病院、NTTコミュニケーションズ |
活用しているデータ | 臨床研究データ |
採用している製品/サービス/技術 | 秘密計算システム/秘密計算ディープラーニング(NTTコミュニケーションズ製) |
稼働時期 | 2021年2月1日(共同研究の協定締結日) |