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JR九州、保有車両の削減に向けた最適運用に量子コンピューターの活用を検証

DIGITAL X 編集部
2021年2月24日
写真1:対象路線を走るBEC819系架線セキュリティ蓄電池電車

JR九州(九州旅客鉄道)は、鉄道車両の運用を最適化するために量子コンピューターを活用する検証プロジェクトをグルーヴノーツと共同で開始した。保有車両を削減しコストの最適化を図るのが目標だ。2021年2月9日に発表した。

 JR九州(九州旅客鉄道)では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が長期化する中、鉄道事業の抜本的なコスト削減が急務になっている。車両の維持コストや設備の老朽化に伴う取り替えコストを抑制するために、車両の保有数を削減する意向で、車両の運用計画の最適化・自動化を図るためにデジタル技術を活用する。

 鉄道車両の運用は、鉄道ダイヤ(列車運行計画)に基づいて計画を策定する。そこでは、車両編成の組み替えや検査・清掃などを実施するための時間的・場所的な制約を踏まえる必要がある(図1)。これまでは熟練者が経験によって鉄道車両の編成や割り当てを決めてきた。

図1:車両運用計画で考慮すべき要件(左)と検証プロジェクトの対象路線

 今回、運用計画の策定に量子コンピューターやAI(人工知能)などの先端技術と高度な数理モデルを用いた車両運用最適化のシミュレーションモデルを構築し、実用化を目指す。福北ゆたか線と若松線を主に走行する車両を対象に検証を実施する。検証には、量子コンピューターのクラウド環境「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」(グルーヴノーツ製)を利用する。

 JR九州とグルーヴノーツは今後、本プロジェクトで得た結果を元に、他路線への適用拡大や旅客の需要予測といったプロジェクトも共同で進める予定である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名JR九州(九州旅客鉄道)
業種交通
地域福岡市博多区(本社)
課題車両の保有数を削減できるよう車両の運用計画の最適化・自動化を図りたい
解決の仕組み熟練者の経験に頼っている鉄道車両の運用計画策定に量子コンピューターやAIなどの先端技術を適用し最適化・自動化を図る
推進母体/体制JR九州、グルーヴノーツ
活用しているデータ鉄道のダイヤ(列車運行計画)や、車両の編成組み替え、検査・清掃などに関する情報
採用している製品/サービス/技術量子コンピューター機能を持つクラウド基盤「MAGELLAN BLOCKS」(グルーヴノーツが提供)