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竹中土木、盛土の品質を2基のGNSSで精度を高める転圧管理システムを開発

DIGITAL X 編集部
2021年3月18日

竹中土木は土木工事における盛土の品質管理精度を高める転圧管理システムを、スイスの測量機器会社ライカジオシステムズと共同で開発した。2021年3月3日に発表した。

 竹中土木が、スイスの測量機器会社ライカジオシステムズと共同開発した「Dual Mast Roller」は、転圧ローラーによる盛土の締め固め作業の品質を高めるためのシステム。両社が実施した実証試験では、走行軌跡が水平方向20ミリ以下、鉛直方向30ミリ以下の精度で施工履歴データを取得できたという。

 盛土の締め固め作業の品質は、転圧ローラーで転圧した個所の位置座標と、エリアごとの転圧回数を管理して把握する。Dual Mast Rollerでは、転圧ローラーの両側に2基のGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナと傾斜計を搭載することで、転圧ローラーの鉄輪の中心位置情報を正確に取得し走行軌跡を高い精度で管理する(図1)。

図1:「Dual Mast Roller」では2基のGNSSを搭載し精度を高めた

 Dual Mast Rollerはまた、鉄輪の方向角・傾斜角と走行した鉄輪幅から3次元点群データを生成する機能を持つ(図2)。締め固め作業直後に施工状況を確認でき、施工のやり直しの必要性をその場で判断できるという。3Dスキャナーやドローンで計測しなくても土量を算出できるほか、施工履歴データを層厚や出来高の管理データとしての活用も期待できるとしている。

図2:走行軌跡に沿った点群作成イメージ

 従来の転圧管理システムでは、GNSSアンテナを1基しか設置しておらず、鉄輪の中心位置をGNSSアンテナと鉄輪の中央の距離および比高差から算出していた。そのため施工場所に勾配がある場合や車体を旋回させた際に誤差が生じ、未施工個所が生じるなどのリスクがあった(図3)。

図3:従来システムにおける車体旋回時に発生する水平誤差(左)と、Dual Mast Rollerとの走行軌跡の比較例

 両社は今後、(1)点群データから次層の撒き出しデータを作成し、クラウド上でブルドーザと連携する新たな施工管理手法や、(2)面的な層厚管理、(3)生成した点群データを使ったリアルタイムな土量および土量変化率の管理を実現する機能の開発に取り組む計画である(図4)。

図4:クラウド上でのDual Mast Rollerで生成した点群データの共有と活用のイメージ
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名竹中土木
業種製造
地域東京都江東区(本社)
課題転圧ローラーを用いた盛土の締め固め品質と精度を高めたい
解決の仕組み転圧ローラーに2基のGNSSアンテナを取り付けることで転圧ローラーの走行軌跡を高精度で管理する
推進母体/体制竹中土木、スイス・ライカジオシステムズ
活用しているデータ転圧ローラーの中心の位置情報など
採用している製品/サービス/技術GNSS(Global Navigation Satellite System)