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旭化成グループ、地震による建物被害を把握するための防災情報システムを試験運用へ

DIGITAL X 編集部
2021年3月25日

旭化成グループは、地震による建物被害を把握するための防災システムの試験運用を開始する。東京23区内の戸建て住宅166棟への地震計設置を完了させた。個別の建物被害や液状化現象の発生状況を推定する。2021年3月5日に発表した。

 旭化成と旭化成ホームズが試験運用するのは、地震発生時の建物被害を推定するための「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」。2020年1月に発表した運用計画に沿い、東京23区内にある同社の注文住宅「へーベルハウス」166棟に地震計を設置した(図1)。2021年7月から試験運用を始め、2022年4月には全エリアのヘーベルハウスを対象にした運用開始を目指す。

図1:「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS」の概要

 LONGLIFE AEDGiSは、防災科学技術研究所(防災科研)と共同開発した。防災科研が持つ知見と、地盤データベースおよび地震動伝達に関する高速演算手法を組み合わせている。地震計が計測したデータを元に、地震発生後の約10分から2時間の間に、エリア内にある建物被害や液状化現象の発生状況を推定できるという(図2)。

図2:「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS」による被害状況の推定イメージ

 LONGLIFE AEDGiSの精度を高めるために今後、防災科研が開発したリアルタイム地震被害推定システム「J-RISQ」の予測結果を取り込む。(1)個別建物、構造物およびインフラ施設などの即時被害の推定、(2)液状化発生状況のリアルタイム推定、(3)将来の地震被害推定などに応用する。

 今後はLONGLIFE AEDGiSの研究に加えて、防災でのSNSの利用も研究する計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名旭化成/旭化成ホームズ
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題地震発生時の被害状況を正確かつ迅速に把握したい
解決の仕組み住宅に地震計を設置し、個別の建物の被害レベルや液状化現象の発生状況を推定する防災システムを構築する
推進母体/体制旭化成、旭化成ホームズ、国立研究開発法人防災科学研究所
活用しているデータ地震計が観測した地震動観測データ
採用している製品/サービス/技術IoT防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」
稼働時期2021年7月(試験運用の開始時期)