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JA共済連、共済の引受基準を医療ビッグデータとAIを活用し緩和

DIGITAL X 編集部
2021年4月7日

全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)は、血圧症や脂質異常症など既往歴がある場合の共済の引受基準を、医療ビッグデータやAI(人工知能)技術を活用することで大幅に緩和する。生活習慣病にかかわる入院リスクをAI技術で予測する。同AI技術を提供する日立製作所が2021年3月17日に発表した。

 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が2021年4月から、新基準による共済への加入契約の引受を開始した。医療ビッグデータをAI(人工知能)技術で分析した結果、高血圧や脂質異常症などの既往歴がある場合の引受基準を大幅に緩和できることを確認できたからだ(図1)。

図1:医療ビッグデータを活用することで共済の引受基準を緩和する

 新基準では、高血圧と脂質異常症においては申込時に医師の診査を必要とせず、書類の記入のみで完結できる「告知書扱い」での申込みを新設する。ぜんそくと高尿酸血症(痛風)についても「告知書扱い」に範囲を拡大する。

 これにより、既往歴や持病があっても所定の条件を満たせば健康状態の申告のみで加入手続きが完了できる。職員が利用するタブレット端末で手続きか完結できる範囲が拡大するため、より多くの人を対象にスピーディーな保障の提供が可能になるとしている。

 高血圧などの生活習慣病が日本全国で増加傾向にあることや、既往歴があっても共済に手軽に加入したいというニーズの高まりを背景にJA共済連では、2019年から共済引受基準の緩和に向けた検討を進めてきた。

 具体的には、日立制作所が2018年に発売した8大生活習慣病発症による入院の可能性と、その日数を予測するAIシステム「Risk Simulator for Insurance」が算出したリスク予測結果と、健康診断結果、診療報酬明細書などの医療ビッグデータ、JA共済連の過去の共済金支払い実績などを組み合わせ、疾病発症リスクを分析。その結果から、今回の結論に至ったとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
業種医療・健康
地域東京都千代田区(本部)
課題医療保障をよりスピーディーに提供できるようにしたい
解決の仕組み共済の引受基準を医療ビッグデータやAI技術を活用し緩和する
推進母体/体制JA共済連、日立製作所
活用しているデータ健康診断結果、診療報酬明細書などの医療ビッグデータ、JA共済連の過去の共済金支払い実績など
採用している製品/サービス/技術8大生活習慣病発症による入院を予測するAI「Risk Simulator for Insurance」(日立製作所製)
稼働時期2021年4月