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神戸市、データの匿名化技術の有効性を確認しオープンデータ化を推進

DIGITAL X 編集部
2021年4月5日

神戸市は、データから個人を特定できないようにする匿名化技術の有効性を実証実験で確認し、一部をオープンデータとして公開した。匿名化したデータのオープンデータ化を推進し、住民向けサービスの向上に活用する。2021年3月16日に発表した。

 神戸市が実証実験を実施したのは、個票形式のデータを匿名化する技術(図1)。住民台帳に基づく統計情報から作成した150万件の個票形式のサンプルデータを対象に、年齢、性別、国籍、住所など10項目を匿名化した。実験は2020年7月31日から2020年10月15日にかけて実施した。

 実験を通じて神戸市は、匿名化後のデータが割合などの傾向を分析するには十分な精度を持つことを確認した。匿名化したデータを統計情報として集計し、オープンデータとして公開することで住民向けサービスや生活の質の向上に活用する(図1)。匿名化したデータの1つは既にオープンデータとして公開した。

図1:オープンデータ化による住民サービス向上のイメージ

 匿名化に利用した技術は、日立ソリューションズが提供する「プライバシー情報匿名化ソリューション」。対象のデータ内に同じ属性を持つデータがk件以上存在するようにデータを変換する「k-匿名化」により特定の個人の識別を困難にすることで、パーソナルデータを個人情報保護法に則った形で利用できるようにする。匿名化の環境は日立ソリューションズが分散処理技術「Hadoop」を使って構築した。

 地方公共団体などが保有するデータについて総務省は、住民サービスの向上や政策立案に役立てることを推奨すると共に、オープンデータとしての公開をうながしている。分析用途には集計後の統計情報より1件1行の個票形式データのほうが適している。だが一般に、個票データの匿名化は時間的・技術的に困難とされる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名神戸市
業種公共
地域神戸市
課題住民サービスを高めるために、パーソナルデータを個人情報保護法に則って利用したい
解決の仕組み個票形式のデータを匿名化して利用する
推進母体/体制神戸市、日立ソリューションズ
活用しているデータ統計情報から作成した150万件の個票形式のサンプルデータ
採用している製品/サービス/技術「プライバシー情報匿名化ソリューション」(日立ソリューションズ製)
稼働時期2020年7月31日から2020年10月15日(実証実験の期間)