• UseCase
  • 公共

埼玉県秩父市、山間地域の物流や移動にドローンやMaaSを使う事業を構築へ

DIGITAL X 編集部
2021年4月9日

埼玉県秩父市は、山間地域における物流や移動の課題を解決するために、ドローンやMaaS(Mobility as a Service)などを使った事業モデルの構築を推進する。地域住民や観光客の利便性を高めるのが目的だ。2021年3月18日に発表した。

 埼玉県秩父市は、物流・公共交通を対象にした「秩父モデル」の構築を推進する(図1)。移動が困難な山間地域に持続可能な生活インフラを構築することでモノとヒトの移動の最適化を図り、地域住民や観光客の利便性を高める。2022年までにサービスの設計・実証、技術開発を完了し、試験運用を経て2024年の社会実装を目指す。

図1:山間地域の物流・公共交通を対象にした「秩父モデル」イメージ

 秩父モデルで事業化を進める取り組みは主に4つ。(1)ドローン物流、(2)MaaS(Mobility as a Service)、(3)遠隔医療、(4)各サービスの情報を統合管理する「秩父市版ダッシュボードシステム」の開発である。

 ドローン物流では、高齢者などへの買い物支援を対象にする。併せて、ラストワンマイルの配送にEV(電気自動車)も利用する。ドローンとEVに給電する設備である「ドローンポート」の整備や、災害発生時における配送ルートの設定も検討する。

 MaaSでは、住民のための交通インフラの維持と観光客の二次交通問題の改善、および山間地域への物流コストの低減など目指す。公共交通やカーシェアリング、小型電動モビリティなどを融合したサービスを提供する。

 遠隔医療では、山間地域における持続的な医療システムの構築を目指す。遠隔医療のほか、処方薬の配送にドローン物流やMaaSを利用することも検討する。

 秩父市版ダッシュボードシステムは、各サービスが保有する情報(ヒト・モノ・クルマの位置情報、各事業者の情報、物流・交通結節点の位置情報など)をクラウドで集約・分析し、統合するためのシステムになる。

 秩父市は、都市部へのアクセスがよく、自然に囲まれた観光地を抱える一方で、山間地域が多く、住民の高齢化が進行している。災害時や日常生活において生活交通・物流などのインフラの維持が困難なのが現状だ。

 秩父モデルの推進にあたり秩父市は、「秩父市生活交通・物流融合推進協議会」を2020年11月に民間企業らと共同で設立した。協議会には、ゼンリン、三菱総合研究所、楽天、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、早稲田大学が参画する。

 協議会では、山間地域の課題解決に向けた検討を進めており、秩父モデルの構築は、その一環である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名埼玉県秩父市
業種公共
地域埼玉県秩父市
課題山間地域の高齢化が進行し、災害時や日常生活において生活交通・物流などの生活インフラの維持が困難である
解決の仕組み山間地域における物流・公共交通ネットワークを構築する事業モデルを推進し、生活インフラの持続性を高める
推進母体/体制秩父市、ゼンリン、三菱総合研究所、楽天、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、早稲田大学
活用しているデータヒト・モノ・クルマの位置情報、各事業者の情報、物流・交通結節点の位置情報など
採用している製品/サービス/技術ドローン、遠隔医療、MaaS、クラウド
稼働時期2024年(サービスの社会実装の目標時期)