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出光興産、燃料の陸上輸送をリアルタイムに管理するためのシステム基盤を始動

DIGITAL X 編集部
2021年4月9日

出光興産は、燃料油の陸上輸送状況をリアルタイムに管理するためのシステム基盤を構築し運用を開始した。サービスステーション(SS)や取引先、タンクローリーを運行する運送会社など輸送関係者間で情報を共有し、それぞれの連携・協働を推進する。タンクローリーの乗務員向けのモバイルアプリも用意する。2021年3月19日に発表した。

 出光興産が運用を開始した「輸送管理プラットフォーム」は、燃料油の受注から配送、荷卸しまで一連の業務で発生するデータをリアルタイムに一元管理し、分析するためのシステム基盤である。

 約900台のタンクローリーにタブレット端末を配布し、車両の位置情報や作業状況をリアルタイムで収集。全国に約6400カ所あるサービスステーション(SS)への配送状況や、荷積み・荷卸し実績、配車計画や関係者との連携状況などを関係者間で共有する(図1)。

図1:「輸送管理プラットフォーム」の画面例

 同プラットフォームを介して、燃料油の物流にかかわる関係者の全員が必要な情報にアクセスしたり、詳細情報を共有したりすることで燃料油の物流に関する課題解決を図る。出光興産自身は、輸送状況の可視化、受注・配送業務のデジタル化により、データに基づく配車計画の最適化や輸送オペレーションの効率化を推進する。

 タンクローリーの乗務員に提供するタブレット端末には輸送状況の報告するための専用アプリケーションを搭載する。業務内容や注意事項の確認もでき、より安全で効率的な輸送業務の実行を支援する(図2)。

図2:タンクローリー乗務員用アプリケーションの画面例

 出光興産の流通業務部長である寺崎 与志樹 氏は、輸送管理プラットフォームについて、こう語っている。

 「当社は2022年度までの中期経営計画において、デジタル変革の加速を重点課題の1つに掲げている。デジタル技術を駆使した本プラットフォームは、燃料油の陸上輸送に関わるすべての方との、さらなる連携を可能にするとともに、安全・安定・効率が求められる輸送管理業務に新たな価値を生み出し、変革を加速させる上で重要な役割を担うものだ」

 輸送管理プラットフォームは、アクセンチュアの協力のもと、米Salesforceのクラウドサービスを使って構築した。アクセンチュアが構想から、システムの設計・開発、既存システムとの連携など導入までのプロセスを支援した。

 寺崎氏は、「デジタルとエネルギー業界に精通したアクセンチュアの協力があったからこそ構築できたと確信している。今後もアクセンチュアと協力し、本プラットフォームの強化や拡張を進め、さらなる価値の創造に挑戦する」としている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名出光興産
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題燃料油の陸上輸送における配送計画の精緻化と輸送業務の効率化を図りたい
解決の仕組みサービスステーション(SS)や取引先、タンクローリーの運行会社などの間で、各種データをリアルタイムに取得・共有できる仕組みを構築する
推進母体/体制出光興産、アクセンチュア
活用しているデータ配車計画や関係者との連携状況、SSへの配送状況、荷積み・荷卸し実績、タンクローリーの位置情報や作業状況など
採用している製品/サービス/技術米Salesforceのクラウドサービス
稼働時期2021年3月(運用開始の発表時期)