• UseCase
  • 交通

京急電鉄、線路や車両の状態を5Gを使って遠隔監視するシステムを構築

DIGITAL X 編集部
2021年4月15日

京浜急行電鉄(京急電鉄)は、線路や車両の状態を遠隔監視するシステムを構築した。2021年4月から本格的な運用を検討する。2021年3月26日に発表した。

 京浜急行電鉄が構築したのは、線路や車両の状態を遠隔からリアルタイムに監視するためのシステム(図1)。運用・保守業務の効率化と安全性の向上を図るのが目的だ。このほど実証実験に成功し、2021年4月以降、システムの高度化を進めながら、鉄道事業および他領域での本格的な運用を検討する。

図1:京浜急行電鉄が実証に成功した遠隔監視システムの概要

 実証実験は、京急電鉄の久里浜工場(神奈川県横須賀市)において2020年12月20日から2021年2月12日にかけて、車両監視と災害時の線路点検を想定して実施した。

 車両監視では、設置した4Kカメラとサーマルカメラを使って車両床下にある機器を撮影し、画像を分析した。1ミリセンチメールの疑似的な亀裂や、ブレーキパッドの摩耗、機器収容箱のハンドルの開き、車軸の温度上昇を検出できた。

 線路点検では、ドローンに搭載した4Kカメラで線路を撮影し、飛来物などを想定した障害物を検知した(図2)。10センチメートル角の木片から、身長170センチメートルの人まで、試験対象を漏らさず検知した。

図2:ドローンを使った線路点検の概要

 撮影した画像は、5G(第5世代移動体通信サービス)を使ってエッジコンピューターに伝送し、AI(人工知能)エンジンで解析したうえで、遠隔地のPCに配信した。配信に要した時間は、車両監視では0.94秒、ドローンによる線路点検では1.26秒から1.33秒だった。

 実験は、京急、中央復建コンサルタンツ、NTTドコモ、横須賀市の4者がコンソーシアムを組んで実施した。総務省の「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証に係るインフラ分野におけるローカル5G等の技術的条件及び利活用に関する調査検討の請負」を受けたものである。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名京浜急行電鉄
業種交通
地域神奈川県横須賀市(京急・久里浜工場)
課題鉄道の運用保守に関わる車両の監視および線路点検の効率を高めたい
解決の仕組み固定カメラおよびドローンに搭載したカメラによって車両と線路を撮影し、5G通信を使って遠隔地のPCに配信し監視する
推進母体/体制京浜急行電鉄、中央復権コンサルタンツ、NTTドコモ、横須賀市
活用しているデータ固定4Kカメラとサーマルカメラが撮影した車両の床下機器などの映像、ドローンに搭載し4Kカメラで撮影した線路上の障害物
採用している製品/サービス/技術5G、AI、エッジコンピューティング
稼働時期2020年12月20日から2021年2月12日(実証実験の実施期間)